結婚・出産・就職・開店・誕生日・引っ越しなど……大切な人へのお祝いにプレゼントを贈るとき、「縁起の良さ」にこだわりたいと思う人は多いでしょう。特に結婚祝いや新築祝いなど、人生の大きな節目となる大きなイベントではプレゼントを贈るタイミングにもこだわりたいところ。
とはいえ、日本には古来から伝わる暦が複数あります。ひとつの暦で「縁起が良い日」だと思ったら、別の暦では「何をするにも適さない凶日」だったなんてことも。今回は代表的な3種の暦で「縁起が良い」とされている日の中から、お祝いシーンごとに最適な吉日をご紹介します。
暦別「縁起のいい日」一覧
おそらく現代でもっともポピュラーなのは、大安や仏滅などでおなじみの「六曜(ろくよう・りくよう)」でしょう。しかし、日本にはその他にも複数の暦が存在します。今回ご紹介するのは、その中でも比較的有名な次の3種類です。
- 六曜
- 選日
- 暦注下段
まずはそれぞれの暦で使われている用語の意味を見ていきましょう。
六曜(ろくよう・りくよう)
六曜には名前の通り6つの暦があり、「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順で繰り返します。その中で縁起がいいとされているのは大安・友引・先勝・先負の4つです。ただし、時間帯による例外もあるのでしっかりチェックしておきましょう。
先勝(せんしょう・さきがち・せんがち)
「先んずれば即ち勝つ=急いで行動するのが吉」とされている日です。午前中は吉ですが、午後になると一転して凶となってしまいます。先勝の日にお祝いを渡すなら午前中にしましょう。
友引(ともびき)
大安の次に縁起がいい日とされています。「友を引く=幸せのおすそ分け」という意味になり、幅広いお祝いごとに人気の日です。一方で「勝負の決着がつかない良くも悪くもない日」ともされていて、受験など勝負事の祈願には向きません。
また「友を引く=故人が友を冥土に引き寄せる」という意味も読み取れてしまうため、葬祭関連業は友引を休業日にしているところも多くあります。
先負(せんぶ・せんまけ・さきまけ)
先勝とは逆に「先んずれば即ち負ける=急用は避けるべき日」とされている日です。午前中は凶ですが、午後からは吉となります。
仏滅(ぶつめつ)
六曜の中でもっとも縁起が悪いとされている大凶日です。「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよろしい」と言われ、お祝いごとには適しません。
大安(たいあん)
六曜でもっとも縁起のいい日です。「縁起が良い日=大安」というイメージを持っている方も多いでしょう。「大いに安し=何をやってもうまくいく」ということから、結婚式や入籍の日取りでもっとも人気があります。
赤口(しゃっこう・しゃっく)
仏滅と同じく、どんなお祝い事にも適さない凶日です。例外として午の刻(11時~13時)の間だけは吉とされていますが、この時間帯はお昼時。わざわざこの時間帯に直接訪問するのはマナー違反になってしまいますし、結婚式などのイベントにも向きません。
選日(せんじつ)
選日は「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」に基づき、十干十二支(じっかんじゅうにし)の組み合わせで吉凶が決まります。一般的に知られているものは、以下の9種類です。
- 天一天上(てんいちてんじょう)
- 一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
- 八専(はっせん)
- 十方暮(じっぽうぐれ)
- 不成就日(ふじょうじゅび)
- 三隣亡(さんりんぼう)
- 三伏(さんぷく)
- 犯土(ぼんど)
- 臘日(ろうじつ)
このうち縁起がいいとされているのは「天一天上(てんいちてんじょう)」と「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」の2つだけです。
天一天上(てんいちてんじょう)
天一天上の期間は、地上に降りた神様が天上に帰るので「どちらに進んでもよい=引っ越しや旅行に吉」とされています。これは「方忌み(かたいみ)」といって、神様がいる方角に向かって事を起こしたり進んだりすることを避けるという風習にちなむものです。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
一粒万倍とは「一粒の種もみが万倍にも実る」という意味です。選日の中では何をするにもいい最高の吉日とされていて、特に仕事始め・開店・種まき・新しい趣味など、何かを「始める」のに最適な日とされています。
ただし、人からお金や物を借りる場合は負担も倍増するとされているので注意しましょう。他の吉日と重なると良い効果が倍になり、凶日と重なると縁起の悪さも倍増すると言われています。
暦注下段(れきちゅうげだん)
迷信的な要素が多く日常生活への弊害も大きかったため、朝廷や政府から禁止令が3回も出された歴史がありますが、現代でも根強く文化として残っています。暦の種類が非常に多く、暦注下段だけでみても吉日と凶日が同じ日に重なることが少なくありません。
そのうち縁起のいい意味を持つのは「七箇の善日(ななこのぜんにち)」と呼ばれる7種類。それに加えて、縁起が良くも悪くもなる「復日(ふくにち)・重日(じゅうにち)」があります。
神吉日(かみよしにち)
神事に関することに吉とされる日です。お参りやお祭りをするのに良いとされています。
母倉日(ぼそうにち)
「母が子を育てるように天が人間を慈しむ」と言われている日。何をするにも吉で、結婚や入籍など婚礼関係には特に縁起がいいとされています。
鬼宿日(きしゅくび)
「鬼が宿にこもっていて出歩かない=鬼に邪魔されないので何をするにもいい日」とされています。ただし、例外として婚礼に関しては「嫁入り=(鬼がいる)家の中に入る」として凶になる日です。
月徳日(つきとくにち・がっとくにち)
その月の徳神がいる日とされていて、家の増改築や土地に関することに吉とされています。家のリフォームや地鎮祭の日取りに適した日です。
大明日(だいみょうにち)
「天地が開けて隅々まで太陽の光に照らされる」ということから、何をするにもよい吉日です。中でも引っ越し・旅行・店の移転など「移動」に関することに吉とされます。
天恩日(てんおんにち)
「万民が天の恩恵を受ける日」です。お祝いなどには吉日とされますが、凶事(弔事や戦いなど)には用いてはいけないとされています。
天赦日(てんしゃにち)
歴注下段の中でもっとも縁起がいい日です。「すべての神様が天に上り万物の罪を赦す=何をするにもいい最上の吉日」とされています。
復日(ふくにち)・重日(じゅうにち)
復日と重日はほとんど同じ意味で「良いことはさらに良く、悪いことはさらに悪くなる」日とされています。 つまり、吉日に重なったときだけ縁起がいいと言える変わった暦です。ただし例外として、結婚のお祝いには向きません。
【2025年】お祝いを渡すのに最適な日取り一覧
これまで見てきた3種類の暦から、「1つ以上の暦で吉日」かつ「どの暦でも凶日ではない」縁起のいい日をピックアップしてご紹介します。大切な贈り物やイベントの日取りに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
どんなお祝い事・祈願にも最適な【最高吉日】
- 2月2日(日):大安+大明日+天一天上
- 2月26日(水):大安+天恩日+月徳日
- 4月4日(金):先負+神吉日+一粒万倍日(午後がベスト)
- 6月4日(水):先勝+大明日+一粒万倍日+天一天上(午前がベスト)
- 11月21日(金):大安+神吉日+月徳日+天一天上
- 11月27日(木):大安+神吉日+天一天上
婚礼(結婚式・入籍・結納など)に良い吉日
- 1月26日(日):友引+大明日+天一天上
- 2月2日(日):大安+大明日+天一天上
- 2月26日(水):大安+天恩日+月徳日
- 4月4日(金):先負+神吉日+一粒万倍日(午後がベスト)
- 6月4日(水):先勝+大明日+一粒万倍日+天一天上(午前がベスト)
- 11月21日(金):大安+神吉日+月徳日+天一天上
- 11月27日(木):大安+神吉日+天一天上
婚礼(結婚式・入籍・結納など)以外のお祝いに良い吉日
- 3月31日(月):大安+神吉日+母倉日+重日+天一天上
- 4月10日(木):先負+神吉日+大明日+天恩日+復日
- 6月11日(水):友引+大明日+天恩日+重日
- 8月23日(土):先勝+天恩日+復日+一粒万倍日
引っ越し・新築祝いに良い吉日
- 1月26日(日):友引+大明日+天一天上
- 1月27日(月):先負+神吉日+天一天上(午後がベスト)
- 2月4日(火):先勝+大明日+復日+天一天上(午前がベスト)
- 4月2日(水):先勝+神吉日+復日+天一天上(午前がベスト)
- 4月10日(木):先負+神吉日+大明日+天恩日+復日(午後がベスト)
- 6月10日(火):先勝+大明日+天恩日+神吉日(午前がベスト)
- 6月11日(水):友引+大明日+天恩日+重日
- 7月26日(土):先勝+神吉日+天一天上(午前がベスト)
- 8月1日(金):先勝+大明日+天一天上(午前がベスト)
- 8月23日(土):先勝+天恩日+復日+一粒万倍日(午前がベスト)
- 9月27日(土):先勝+神吉日+重日+天一天上(午前がベスト)
- 9月29日(月):先負+神吉日+母倉日+復日+天一天上(午後がベスト)
- 12月7日(日):先負+大明日+天恩日(午後がベスト)
郵送する場合の日取りの決め方
近年では手渡しにこだわらず、お祝いの品を宅配便で送ることも増えてきました。「手渡しの場合は吉日に渡せばいいけど、郵送の場合はいつを吉日にすればいいの?」とお悩みの方もいるかもしれません。
結論から言うと、購入する日・配送する日のどちらかを吉日にすればOKです。先勝・先負など、時間帯によって吉凶が変わる日に配送する場合は時間指定もしておくといいでしょう。
とはいえ、お相手の都合によっては手配した日時に受け取れないかもしれません。万全を期すなら、プレゼントを購入した日を吉日にするといいでしょう。
大切な贈り物は日取りにもこだわってみよう!
どの暦で見てもお祝いをするのにぴったりな「縁起のいい日」をご紹介しました。大切な贈り物や節目のお祝いの日程を決めるときの参考にしてください。
ただし、日取りにこだわりすぎるあまり贈る時期が遅れてマナー違反になってしまっては本末転倒。吉日はあくまで参考程度にして、常識の範囲内で上手に活用しましょう。