「日記を付けるといいらしいと聞いたけど、具体的にどんなメリットがあるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。小学生の日記は文字の練習や先生とのコミュニケーションを主な目的とするものですが、大人になってから書く日記には多くの実用的なメリットがあります。
今回は日記を書くことによる8つのメリットと、その効果を最大限に活かす書き方のポイントについてもご紹介します。「仕事やプライベートをもっと充実させたい」「叶えたい目標や夢がある」という方は、ぜひ参考にしてください。
日記を書くメリット
日記を書くことによって得られるメリットは、大きく分けると「脳のトレーニング」「イベントや事実の記録」「感情浄化作用」などがあり、仕事やプライベートのさまざまなシーンで役立ちます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
文章力・語彙力の向上
「複数あるエピソードの中から何を書くか決めて、一から文章を作る」という作業は、慣れている人でないと案外難しいものです。日記を続けていく中で、わかりやすい文章を素早くまとめる力が鍛えられていきます。
また「嬉しかった」「楽しかった」など同じような表現が続いてしまうとき、他の言い回しや表現を調べて書くようにすると語彙力も上がっていきます。
記憶力の向上
日記を書くためにはその日一日どんなことがあったかを振り返る必要があります。また手書きで日記を書く場合は、日ごろパソコンやスマホが自動変換してくれる漢字も自分で書かなければいけません。このとき過去の出来事や漢字を「思い出そう」とすることが脳の刺激となり、記憶力の向上や物忘れの防止が期待できます。
「伝える力」が鍛えられる
自分が経験した出来事や感情を文章にするには、まず頭の中で思考や感情を整理しなければいけません。日記を続けていくうちに「考えや感情を整理して、文章にまとめる」ということが素早くできるようになるため、相手に自分の思ったことがきちんと伝えられるようになっていきます。
過去を「記録」として残せる
人間の記憶力はとても曖昧なものです。心揺さぶられるような思い出や人生の大きなイベントも「あれっていつだったっけ?」「あのとき〇〇さんは何と言っていたかな?」といった具合に、時とともに薄れていってしまいます。日記として記録しておくことで、読み返すたびにそのときの感情や記憶を鮮明に思い出すことができるのです。
またネガティブな話題ではありますが、パワハラやDVの具体的な被害を記しておくことで、訴訟の際の証拠にもなることがあります。証拠として用いる場合は、デジタルよりも改ざんしにくい手書きのほうが信用性が高いとされることが多いようです。
自分の行動や思考のパターンが客観視できる
出来事とあわせて「そのときどう感じたか・その原因は何か」を書いておくことで、自分の行動や思考を客観視できるようになります。たとえば「〇〇ができた日はいい気分になるから、繰り返せるように意識しよう」「こんなトラブルが起きると嫌な気持ちになる。原因は☓☓だったから、なるべく避けるようにしよう」というふうに、毎日をより良く快適に過ごすためのヒントになるでしょう。
また、食事や運動の記録を付けておくと「最近外食が多かったから、来週は自炊をがんばろう」「ランニングをサボり気味だったから、明日は一駅手前で降りて歩いてみよう」など、健康管理に役立てることもできます。
ストレス解消になる
悩みやグチは、人に聞いてもらうだけでちょっと気分が楽になるものです。これは「人に聞いてもらう」ということよりも「思ったことを溜め込まず表に吐き出す」ということの側面が大きかったりします。日記なら人には言えない悩みや不満も赤裸々に書くことができるため、心のモヤモヤが解消されて気分がスッキリします。
また「ストレスを感じたときにどう乗り越えたか」ということも書いておくと、同じような場面でスムーズに乗り越えることができるため、結果として感じるストレスを軽減させることにもつながります。
ポジティブになれる
日々の生活で「あのときこんなことがあって嬉しかった」「あの人とこんな話ができて楽しかった」というポジティブな出来事を書いておくと、読み返したときに感情がよみがえり前向きな精神状態になることができます。
さらに「日記に良かったことを書こう」と意識することで、それまで気づかずにいたささやかな幸せや新たな発見に気づけるようになり、幸福感が高まります。
「継続したこと」が自信になる
何事も、始めるより続けることのほうが難しいもの。日記を手書きで付ける場合は書き終わった日記帳やノートが形として残るため、ひとつのことをコツコツ続けてきたという達成感を目で見て味わえます。日記を続けることによって「自分でもひとつのことを継続できた」という自信がつくと、勉強や運動など他のことにもチャレンジしやすくなります。
日記にデメリットはある?
「日記を書くこと」自体によるデメリットではありませんが、人と場合によってはデメリットになってしまう点もご紹介します。
書くための時間を確保する必要がある
書く量にもよりますが、数行の日記でも3~5分程度、ノート1ページ分ともなると15分以上かかることも珍しくありません。夜寝る前に日記を書く場合、疲れや眠気と戦いながら頭を整理して書くことになりますので、日記を書くための時間や気力が惜しいと感じる人もいます。
夜書くのが難しい場合は、あえて翌日の朝や昼に書いてしまうのも手です。詳しくは日記を継続するためのポイントについての記事でご紹介していますので、日記を続けられるか不安という方はぜひあわせてお読みください。
【日記が続かない人必見!】挫折の原因と継続のコツ7つメリットを実感できるまでに時間がかかる
日記には多くのメリットがありますが、その多くは即効性がなく、1ヶ月・3ヶ月・半年・1年……と、積み重ねた時間が長いほど効果が出てくるものです。はじめからメリットばかりを重視しすぎると挫折の原因にもなりますので、まずは「文章を書くことを楽しむ」ところから始めましょう。
読み返すときに嫌な気分になってしまう
メリットの項目でもお伝えした通り、正直な感情を日記に書くことはストレス発散になります。しかし、書いてあるのがネガティブなことばかりだと、読み返すときに過去の嫌な記憶を繰り返し思い出してしまい、かえって憂鬱な気持ちになってしまう人もいます。
対処法としては「ネガティブなことだけでなく、ポジティブなことも必ず書くようにする」「ネガティブなことは日記とは別の紙に書いて、読み返さず捨ててしまう」といった方法が有効です。
何を、どのように書けばいい?効果的な日記の付け方
いざ日記を書こうと思っても、何をどう書いたらいいかわからず手が進まないという方も多いかもしれません。日記の効果を最大限に活かすならば、まず「あとで読み返すことを前提に書く」ということを意識してみましょう。
日記は未来の自分へ向けたアドバイスノートのようなものです。読み返したとき役に立つ日記にするためには、出来事や考えをなるべく客観的に書くということが大切になります。
出来事・感情・思考をセットで書く
「今日は〇〇で嬉しかった」「今日は□□へ行って楽しかった」と、出来事と感情だけを並べた日記では、読み返しても「この日こんなことがあったんだな」ということしかわかりません。できごとと感情に加えて「そのとき自分がどう考えたか」または「なぜそのように感じたか」もあわせて書くようにしましょう。
辛いことを乗り越えたエピソードがあれば、どう対処したかも書いておくと今後同じようなトラブルが起こったときに役立ちます。
仕事の気付きやアイデアをまとめておく
ふとした瞬間に浮かんだひらめきは、その場でメモしないとすぐに忘れてしまいます。思いついたその瞬間はどう形にしたらいいかわからないようなアイデアも、日記に残しておくと読み返したときにいい解決策が浮かぶかもしれません。
「日記を書くときまで覚えておく」というのは難しいので、思いついたその瞬間にさっとメモしておき、日記を書くタイミングでじっくり考えをまとめてみるのもいいでしょう。
叶えたい目標について書く
資格の勉強やダイエットなど、目標に掲げているものがあればぜひ日記に書きましょう。このときただ勉強時間や数値をメモするのではなく「この方法はうまくいかなかったから、次はこうしてみよう」「この方法は自分に合っているかもしれない」といった記録も残しておくと、効率よく目標に近づいていきます。
手書きとデジタル、どっちがいい?
日記というと昔ながらの日記帳を思い浮かべる方も多いと思いますが、最近では無料で使える日記アプリやWebサイトも多くあります。手書き・デジタルそれぞれにメリットとデメリットがありますので、自分に合ったほうを選ぶといいでしょう。
手書きで日記を付けるメリット・デメリット
- 「手で書く」ことで脳が鍛えられる
- データ流出の心配がない
- 「継続の証」が目に見える
- デジタルにはない「趣」が楽しめる
自分の手でペンを握り、デジタルの変換機能に頼らずに書くことが脳への良い刺激になります。またWebサービスを介して利用するものが多いデジタル日記と違って、盗難や紛失の被害にあわない限り、日記の内容や個人情報が流出してしまう可能性はありません。
書き終えた日記は形として残るため、一冊書き終えるたびに「次も頑張ろう」というモチベーションアップにもつながります。時が経って色が変わった紙のページを一つひとつめくりながら、その日の気分や体調で微妙に変化した筆跡を楽しめるのも、手書きならではの醍醐味と言えるでしょう。
- バックアップが取りにくい
- 保管方法に気をつける必要がある
- 同居の家族などがいる場合、隠し場所に困る
紙の日記はデータ流出の心配がない分、万が一火事や置き忘れで紛失してしまった場合のバックアップが取りづらいという問題があります。湿気がこもる段ボール箱などに保管しているとカビが生えてしまうことがあるので、保管の場所や方法には気をつけなければいけません。
また同居人がいる場合は盗み見られてしまう可能性もあるため、絶対に見られたくない日記は鍵つきの引き出しにしまうなどの対策が必要になります。
デジタル(アプリ等)で日記を付けるメリット・デメリット
- スキマ時間にさっと書ける
- 検索機能が使える
- 写真添付が簡単にできる
普段使っているスマホやパソコンで書けるため、通勤・通学などのちょっとしたスキマ時間を有効活用できます。「あれっていつだったかな」と確認したいとき、一枚ずつページをめくらなくとも検索機能で目的の箇所をすぐ見つけられるのもポイントです。
また、手書きの日記に写真を添付するにはプリントアウトしてからのりやテープで貼る手間がかかりますが、デジタルならボタンひとつで手軽に貼り付けられます。
- データの流失や消失のおそれがある
- 脳への刺激が少ない
- 「日記を書くこと」だけに集中するのが難しい
デジタル日記は、サービスを提供しているサイトやアプリのサービス終了とともにデータが消えてしまいます。また、IDやパスワードの流失・紛失によってインターネットに広く拡散されてしまう可能性も否定できません。難しい漢字も変換機能に頼ればすぐ書けてしまうため、脳のトレーニング効果も薄くなります。
さらに、どうしても目に入る他のアプリやメッセージの通知などが気になってしまい、じっくり自分の記憶や感情と向き合うことが難しいのも難点です。
まずは日記の「習慣化」を目指そう
日記は書いているその瞬間だけではなく、後になって読み返すときに大きな効果を発揮するものです。日記のメリットを最大限に活かすには、何よりも「日記を長く書き続けること」が必要になります。短くても、文章がうまくまとまらなくてもいいので、まずは一日を振り返って素直に感じたことや出来事について書いてみましょう。
何日か続けていくうちに、自分に合った書き方が少しずつ分かってきます。毎日の習慣にするまでがひと苦労ですが、歯磨きや入浴と同じように「やらないとなんとなく気持ち悪い」と思えるくらいになれば、あとは自然と長く続けていくことができますよ。