何とも言えない懐かしさを感じる「い草」の香り。心地よい香りと涼やかな見た目から夏場に人気のい草枕ですが、その具体的な効果はあまり知られていません。今回は「い草枕」の魅力と、より長く気持ちよく使うためのお手入れ方法についてご紹介します。
い草枕の嬉しい4つの効果
い草枕のメリットは「香りがいい」だけではありません。い草には寝苦しくなりがちな夏場に嬉しい4つの効果があります。
- 調湿効果
- 消臭効果
- 空気清浄効果
- リラックス効果
調湿効果
い草にはとても高い吸湿性があります。この性質により、湿度が高いときは空気中の水分を吸収し、反対に乾燥しているときは蓄えた水分を発散して室内の湿度を調節してくれるのです。寝ている間にかいた汗も吸い取ってくれるので、湿気がこもらず快適な寝心地をキープできます。
消臭効果
い草の表面には目に見えない小さな気孔がたくさんあり、ここで空気を吸ったり吐いたりして「呼吸」をしています。このとき空気中の気になるニオイを吸着してくれるため、消臭効果が期待できます。
空気清浄効果
い草は「呼吸」の際、湿気だけでなくホルムアルデヒドや二酸化炭素、窒素化合物といった空気中の有害物質も吸着します。空気清浄機を寝室に置いている方も多いですが、い草枕は「天然の空気清浄機」なので、電気いらずで稼働音が気になることもありません。
リラックス効果
い草の独特な香りには、樹木が放出する芳香成分(フィトンチッド)が含まれています。い草の香りをかぐことで、森林浴をしているようなリラックス効果が期待できるのです。
国産い草と外国産い草の違い
現在日本で販売されているい草商品の中には、中国などの外国産い草を使用しているものが少なくありません。外国産い草は国産に比べると安価で手に入りますが、見逃せない2つの大きな違いがあります。少々値は張りますが、使い心地で選ぶなら「国産い草」の枕がおすすめです。
「香り」の違い
心地よい香りの国産い草とは違い、外国産い草の中には「動物の飼育小屋」のような酸っぱいニオイを感じるものがあります。このニオイの主な原因は、生産コストを抑えるために使われる「石炭乾燥」という製造工程にあるようです。
外国産だからといって必ず香りの質が悪いとは限りませんが、い草の大きな魅力である「香り」で不快な思いをしてしまう可能性は否めません。
「吸湿性」の違い
い草の吸湿性能は、スポンジ状になった灯芯部(繊維の中心部)の太さに大きく左右されます。国産い草はじっくり時間をかけて育てているため灯芯部が充実しており、その分吸湿性も高いのです。
一方の外国産い草は効率性を重視して化学肥料で育成を早めており、短い期間で刈り取りをするため灯芯部の繊維が細く、国産に比べると吸湿性が劣ります。
い草枕のお手入れ方法
い草枕の基本的なお手入れは「乾拭き」です。い草製品は洗濯することができないのがデメリットですが、見方を変えれば「洗濯・乾燥する手間がかからない」とも言えます。長く愛用するために、正しいお手入れ方法をチェックしていきましょう。
使い始めのとき
商品によっては粉っぽさを感じることがあるので、初めて使うときは軽く乾拭きするのがおすすめです。汚れが気になる方はあらかじめカバーをつけておきましょう。
日頃のお手入れ
まず、い草の目に沿って掃除機をかけホコリを取り除きます。強い力をかけるとい草を傷めてしまうことがあるので注意しましょう。その後タオルなどの柔らかい布で乾拭きします。どうしても水拭きしたい場合は、余計な水分を固く絞ってから拭きましょう。
収納するとき
い草は非常に湿気に弱く、水分が残った状態で放置するとカビが生えてしまいます。収納の際は乾拭きと日陰干しをしたうえで、湿気の少ない暗所に保管しましょう。
天日干しをすると日焼けして変色してしまううえ、乾燥しすぎると繊維が壊れてしまうためできるだけ避けてください。押し入れなどにしまう場合はときどき戸を開けて風を通すのも効果的です。
カビが生えてしまったら
湿気対策が不十分でカビが生えてしまった場合も、基本的には日頃のお手入れとすることは同じです。十分に日陰干ししたあと、目に見えるカビを掃除機で吸い取ってタオルなどで乾拭きします。い草枕には漂白剤や洗剤が使えないため、カビが生えないよう普段からこまめなお手入れを心がけましょう。