春の訪れを告げる花として親しまれている桜は、菊と並ぶ日本の国花としても有名です。ところで、桜の花にはソメイヨシノ以外にも多くの種類があることを知っていましたか?
実は、桜の花言葉は種類によっても少しずつ変わるんです。そこで今回は、代表的な桜の種類別の花言葉をご紹介します。
桜の種類は600種以上
日本に分布している桜のうち80%以上が「ソメイヨシノ」と言われていますが、他にもさまざまな種類の桜が存在します。
日本に古くから自生している野生種は、ヤマザクラ・オオヤマザクラ・カスミザクラ・オオシマザクラ・エドヒガン・チョウジザクラ・マメザクラ・タカネザクラ・ミヤマザクラ・カンヒザクラ、そして2018年に紀伊半島で新たに発見されたクマノザクラの11種です。(※カンヒザクラは日本の野生種として数えないこともあります)
これらの品種に加え、複数の種が交配してできた変種や観賞用に開発された改良品種を合わせると、桜の品種はなんと200種以上、分類の仕方によっては600種以上になるとも言われています。
桜の種類別花言葉
品種に関わらず桜全般に付けられた花言葉は「精神の美」「優美な女性」です。「精神の美」は春の到来とともに一斉に花開く華やかさと、潔くもはかない散り際の様子を連想させます。「優美な女性」は桜の花の美しさを女性にたとえて付けられたと言われています。
ソメイヨシノ(染井吉野)
ソメイヨシノ(染井吉野)の花言葉は「純潔」「高貴」「清純」「精神愛」「優れた美人」。ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交雑種で、江戸時代末期から明治初期にかけて「染井村」で確立された品種です。
その中でとりわけ美しい花を付ける特定の一本を接ぎ木で増やしていった結果、全国に広まりました。現在日本各地にあるソメイヨシノは全て、このとき選ばれたソメイヨシノのクローンです。
シダレザクラ(枝垂れ桜)
シダレザクラ(枝垂れ桜)の花言葉は「優美」「純潔」「淡泊」「ごまかし」「円熟した美人」。垂れ下がった枝が、歳を重ねて頭を垂れる女性の姿に通じるところから「円熟した美人」の花言葉が付きました。
一方ネガティブに感じる「ごまかし」という花言葉は、枝の陰に何かを隠しているような幻想的な雰囲気、垂れた枝に姿を隠すことができることなどから来ているようです。「糸桜」という別名もあります。
ヤエザクラ(八重桜)
ヤエザクラ(八重桜)の花言葉は「豊かな教養」「善良な教育」「理知」「しとやか」「理知に富んだ教育」。入学や卒業のシーズンと開花時期が重なることから教育に関する花言葉が多くつけられたと言われています。
また、ヤエザクラは通常のサクラよりも丸くふんわりとした見た目になることから「豊か」「富んだ」という形容詞がついたようです。
ちなみに、ヤエザクラは通常のサクラよりも花びらの数が多く「八重咲き」になる桜の総称です。品種名ではヤエベニシダレ(八重紅枝垂)、カンザン(関山)、ベニユタカ(紅豊)などがあります。
ヤマザクラ(山桜)
ヤマザクラ(山桜)の花言葉は「あなたに微笑む」「純潔」「高尚」「淡泊」「美麗」。開花時期は他のサクラと同じ3~4月にかけてですが、花と一緒に葉も開くためソメイヨシノなどと区別することができます。ヤマザクラの樹は、家具やインテリア小物の加工にも使われます。
チョウジザクラ(丁字桜)
チョウジザクラ(丁字桜)の花言葉は「純潔」「高尚」「心の美」「優れた美」「淡泊」「美麗」。横から見ると花が「丁字」に見えることからチョウジザクラと名が付きました。
花が小ぶりで下向きに咲くため、一般的な桜よりも控えめな印象になり観賞用として植えられることは稀です。その代わり、他の種と交配しやすいため品種改良によく用いられます。別名メジロザクラ(目白桜)。
オオシマザクラ(大島桜)
オオシマザクラ(大島桜)の花言葉は「純潔」「心の美しさ」。他の桜に比較して花の色が白いため、このような花言葉がついたと言われています。桜餅でおなじみの葉っぱは、オオシマザクラのものが使われています。花の香りが強いのも特徴です。
エドヒガン(江戸彼岸)
エドヒガン(江戸彼岸)の花言葉は「心の平安」「独立」「精神美」。20~30メートル程度に育つ高木で、満開に咲き誇る姿は見る人の心を穏やかにする優雅さがあります。
また、他の桜よりもやや早く咲く孤高な様子から「独立」「精神美」といった花言葉が付きました。アズマヒガン(東彼岸)、ウバヒガン(姥彼岸)、タチヒガン(立彼岸)ヒガンザクラ(彼岸桜)など多くの別名を持ちます。
タカネザクラ(高嶺桜)
タカネザクラ(高嶺桜)の花言葉は「あなたの微笑み」「優美な女性」「潔白」「心の美しさ」。タカネザクラはサクラの中でも最も寒さに強く、標高が高いところに生育できる種類です。
環境が良いところでは10メートル程度まで育ちますが、標高が高く寒さや風が厳しい場所では2メートルにも満たず、地を這うような歪んだ形になります。開花時期は5~6月とやや遅めです。別名ミネザクラ(峰桜)。
カンヒザクラ(寒緋桜)
カンヒザクラ(寒緋桜)の花言葉は「気まぐれ」「あなたに微笑む」「あでやかな美人」「善行」。沖縄県の石垣島にある「荒川の寒緋桜自生地」は国の天然記念物に指定されています。
台湾や中国にも分布しており、人為的に持ち込まれた後野生化した可能性が否定できないため、日本の野生種としてカウントしないこともあります。一般的な桜と違い、花びらは散らずに萼が付いたままで落ちるのが特徴です。
ニワザクラ(庭桜)
ニワザクラ(庭桜)の花言葉は「高尚」「秘密の恋」「うつろいやすい愛」。「秘密の恋」「うつろいやすい愛」の花言葉は、花が開くとつぼみの中央に見えていた緑の葉が隠れて見えなくなることが由来と考えられています。暑さにも寒さにも強く、樹高も1メートル程度と小さめなことから個人でも育てやすい品種です。
マメザクラ(豆桜)
マメザクラ(豆桜)の花言葉は「優れた美人」「淡泊」「純潔」。その名の通り花も小さく樹高も低いことから、控えめで奥ゆかしい印象を受けます。富士山や箱根の近くに多く自生していることから、フジザクラ(富士桜)、ハコネザクラ(箱根桜)などの別名を持ちます。
フユザクラ(冬桜)
フユザクラ(冬桜)の花言葉は「冷静」。さびしい冬の景色の中でひっそりと花を咲かせる姿から「冷静」という花言葉がついたと言われています。
フユザクラはヤマザクラとマメザクラの交雑種と考えられており、葉が小さいことからコバザクラ(小葉桜)という別名もあります。ちなみに、冬(11~12月)だけでなく春(4月)にも花を咲かせる「二度咲き」の桜です。
カンザクラ(寒桜)
カンザクラ(寒桜)の花言葉は「気まぐれ」。1~2月ごろに咲く早咲きの桜であることから「春が来る前に咲く=気まぐれ」という印象がついたようです。
フユザクラと混同されがちですが、赤みを帯びた花を年1回だけ咲かせます。熱海地方に多く植えられていることから、現地ではアタミザクラ(熱海桜)とも呼ばれています。
外国での桜の花言葉
アメリカ
アメリカでの桜の花言葉は「spiritual beauty(精神の美)」「a good education(優れた教育)」。「a good education(優れた教育)」という花言葉の由来は、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンの幼少期の逸話からきたものと言われています。
幼かりしジョージ少年は、ある日父が大切に育てていた桜の木を誤って切ってしまいました。しかし、そのことを正直に伝えたところ、その正直さをむしろ褒められたといいます。
心温まるお話ですが、この頃アメリカにはまだ桜の木はなかったとも言われています。実際にあったことなのか、教訓として作られた物語なのか、実際のところははっきり分かっていません。
フランス
フランスでの桜の花言葉は「Nem’oubliez pas(私を忘れないで)」。恋人たちが別れるときの切なさと、はかなく散る桜の様子を重ねて生まれたとされています。「私を忘れないで」という言葉に隠された愛の重さに、怖いと感じてしまう人もいるようです。
韓国
韓国での桜の花言葉は「정신의 아름다움(心の美しさ)」「가인(佳人)」。「佳人=美しい人、美人」という意味です。日本の桜の花言葉に通じるものがありますね。
ソメイヨシノによく似た「王桜(왕벚나무)」という韓国原産の品種があり、韓国でも桜は春の花として多くの方に親しまれています。
さいごに
種類ごとの桜の花言葉をご紹介しました。ソメイヨシノ以外の桜は見分けがつかないという方も多いかもしれませんが、もし見つけた場合はぜひ「どんな花言葉の桜かな?」と調べてみてくださいね。
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