クリスマスシーズンになると、民家やお店の戸口に飾ってあるのをよく見かけるクリスマスリース。素材を自分で選んでハンドメイドを楽しむ方も多いようです。
そんなクリスマスリースには、その形や使われている素材からいろいろな意味があるのをご存じでしょうか。クリスマスリースに込められた意味と、賃貸や集合住宅でも楽しめる「室内」での飾り方アイデアをご紹介します。
クリスマスリースに込められた意味
クリスマスリースには、大きく3つの意味があるとされています。
- 「永遠」のシンボル
- 豊作祈願・新年祈願
- 魔除け
「永遠」のシンボル
リース(wreath)は「花や葉などで作る輪」という意味。始まりも終わりもない円の形は「永遠の命」や「神から人への無限の愛(アガペー)」の象徴です。ヨーロッパではリースが幸運のお守りとされていることから「幸せがいつまでも続くように」という意味もあります。
豊作祈願・新年祈願
クリスマスリースによく使われる木は、モミやヒイラギなどの常緑樹です。常緑樹は冬になっても青々として枯れないことから「生命力」や「農作物の豊穣」を表すとされています。
また、キリスト教圏では1月6日までクリスマスを祝う習慣があることから「新しい1年も幸せに過ごせるように」という新年祈願も込められているようです。
魔除け
常緑樹の葉には殺菌・抗菌作用があることから、魔除けの効果があるとされています。また、ヒイラギは「生命力の源」であると同時に、葉のトゲに悪いものを遠ざける力があると信じられていることからも、魔除けとして広く定着したようです。クリスマスリースを玄関に飾ることが多いのも「災いから家を守る」ためと考えられます。
クリスマスリースによく使われる素材・飾りの意味
クリスマスリースの素材には、緑・赤・白の「クリスマスカラー」がよく使われます。緑は『永遠の命』赤は『イエス・キリストが十字架で流した血潮と神の愛』白は『清められた魂』の象徴です。クリスマスリース自体が持つ3つの意味に加えて、それぞれの素材にも幸運を願う意味が込められています。
緑色の素材
モミの木やヒイラギなど、リースのベースとなる緑色には「永遠の命」「魔除け」などの意味があります。さらに、トゲのあるヒイラギの葉は「イエスが十字架にかかるときかぶっていたいばらの冠」の象徴です。近年使われることが増えてきたハーブ類は、心地よい香りによる癒やし効果も期待できます。
赤色の素材
ヒイラギや姫リンゴなどの赤い果実は「農作物の豊穣」という意味があります。リンゴはアダムとイブが口にした「禁断の果実」の象徴でもあり、かつてはクリスマスツリーの飾りにも使われていました。
古代ギリシャでは結び目のあるモチーフに魔除けの力があるとされていたことから、固く結ばれたリボンはかわいいアクセントとしてだけでなく魔除けの意味も込められています。
白色の素材
緑を基調としたリースが多い中、白い素材はクリスマスカラーとしての意味に加えて冬らしさの演出効果もあります。また、アクセントとして使われるライスフラワーには「豊かな実り」という花言葉があり、新年祈願にもぴったりです。
その他のモチーフ
ベル
教会の鐘を連想するベルの飾りには、イエスの誕生という「よい知らせ(福音)」を告げるという意味と、悪魔を遠ざける「魔除け」の意味があります。
松ぼっくり
ツリーによく使われるモミの木の実によく似ていることから、代用品として使われるようになりました。モミの木には、クリスマスに関するこのような言い伝えがあります。
イエスの誕生後、当時ユダヤを治めていたヘロデ王は、自身の栄華の終焉を恐れてイエスを殺そうとしました。母マリアと父ヨセフがイエスを守るために逃げていたとき、モミの木の陰に身を隠して難を逃れたそうです。このことから、モミの実はツリーやリースの飾り付けに使われるようになりました。
ただ、モミの実はヤニが多く熟すとバラバラになってしまうことから、形のよく似た松ぼっくりが使われるようになったようです。
シナモンスティック
スパイシーで心地よい香りのするシナモンは、リラックス効果に加えて邪気を払う魔除けの力があるといわれています。
クリスマスリースの起源・由来
現在は「クリスマス飾り」として広く定着しているリース飾りですが、実はキリスト教由来のものではありません。その起源はキリスト教発祥よりも前、古代ローマ時代に遡ります。
当時のローマ人は、お祭りや結婚などのお祝い事で月桂樹やオリーブの冠を作り「特別な日」の演出をしていました。その後、ローマ皇帝がキリスト教を国教として取り入れたことで、キリスト教の文化とローマの風習が融合して「クリスマスリース」が作られるようになったと考えられています。
クリスマスリースを飾る期間
日本では12月25日を過ぎるとツリーやリースを片付け、お正月飾りに変えてしまうご家庭が多いでしょう。しかし、多くのキリスト教徒にとってクリスマスシーズンは11月下旬の「アドベント(待降節)」から1月6日までです。
日本ではあまり知られていませんが、1月6日は「エピファニー(公現祭)」といって、東方の博士たちがイエスのもとを訪れた日とされています。キリスト教国では祝日になっているところも多く、クリスマスリースも11月末から年明けまで飾るのが一般的です。
賃貸・集合住宅でもOK!室内でのクリスマスリースの飾り方アイデア
クリスマスリースには素敵な意味が込められていますが「アパートやマンションの管理人さんが厳しくて、ダメと言われた」「賃貸だからキズが付くのがこわい」といった理由で飾れない方も少なくありません。
それでもクリスマスリースを飾ってみたいという方に向けて、室内で楽しめる飾り方をまとめてみました。「年末までに玄関はお正月飾りに変えるけど、リースもどこかに飾っておきたい」という方もぜひ参考にしてください。
玄関の内側にかける
クリスマスリースには魔除けの意味があるので、せっかくなら玄関の近くに飾りたいですよね。マグネット式のフックなどを使ってドアの内側に引っ掛ければ、集合住宅でも人の目を気にせず飾ることができます。
マグネットならキズが付かないので賃貸でも安心です。マグネットが付かない素材のドアの場合は、ドアの上部に取り付ける「リースフック」という便利アイテムもあるので検討してみてください。
家具にかける
玄関にこだわらない人は、家具や窓際などにひっかけて飾ってみましょう。長めのリボンをヒモ代わりにして、カーテンレールや窓枠にかけてもOK。近くにツリーも飾る場合は、オーナメントの雰囲気や色合いを統一すると見栄えが良くなります。
棚やテーブルの上に置く
ひっかけるのにちょうどいい場所がないという場合は、「アドベントリース」やフレーム入りのリースを探してみてください。アドベントリースはろうそくが4本付いており、アドベント期間中に毎週1本ずつ火をともして楽しむ平置きタイプです。
アクリル版などでリースを囲ったフレーム入りタイプなら、食卓の上やインテリア棚などにディスプレイして楽しめます。普通のリースとはひと味ちがう、額縁に入った絵のような雰囲気が素敵ですよ。
リースを飾ってクリスマスシーズンを楽しもう!
クリスマスリースに込められた意味と、室内での飾り方アイデアをご紹介しました。「うちはツリーだけでいいかな」「集合住宅だから気が引ける」と思っていた方も、今年はぜひクリスマスリースを飾ってみてくださいね。
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