最近では手洗いやアルコール消毒の頻度が増えたことで、手荒れに悩む方も増えてきています。手肌は顔と同じかそれ以上に年齢が出るパーツなので、これまでより一層ケアに力を入れている人は多いのではないでしょうか。
そんなハンドケアに欠かせないハンドクリームですが、実はもったいない塗り方のせいで効果を十分に感じられていない人が多いのです。「ハンドクリームを塗っているのに、全然手荒れが治らない」という方は、もしかしたら塗り方が間違っているのかもしれません。
ハンドクリームの保湿効果を最大限に引き出す塗り方・選び方についてご紹介します。
ハンドクリームの正しい塗り方
ハンドクリームには含まれる成分や香りによってさまざまな種類がありますが、基本的な塗り方はどれも同じです。効果的に保湿効果をアップする塗り方をマスターして、若見えする「手美人」を目指しましょう!
塗る前のひと手間で保湿効果アップ
ハンドクリームを塗り始めるその前に、ひと手間加えることで保湿効果をより高めることができます。
きれいに手を洗う
手肌の表面に付いている汚れや菌を洗い流して清潔な状態にしておくことで、保湿成分が浸透しやすくなります。ハンドクリームの油分をはじいてしまわないように、手洗いのあとはしっかり水気を拭き取っておくことも大切です。ゴシゴシこすらず、吸水性の高いタオルで優しく水気を拭き取りましょう。
化粧水を使って潤いチャージ
ハンドクリームを塗る前に、化粧水で手肌のお手入れをしておきましょう。ハンドクリームの保湿成分は、すでにある肌の水分をキープする効果のものがほとんど。塗る前にすでに肌が乾燥していると、せっかくの保湿効果が半減してしまいます。使用する化粧水は普段のスキンケアで使っているもので大丈夫なので、たっぷりうるおいを与えてコンディションを整えておきましょう。
ハンドクリームの適量
ハンドクリームを塗ったあとベタベタしないように、少なめの量をこまめに塗っている人が多いかもしれません。しかし、クリームの量が少なすぎると塗り広げるときに摩擦が生じ、かえって肌にダメージを与えてしまうおそれがあります。基本的には付属の説明書に従って使うのが一番ですが、なくしてしまった場合の大まかな目安は以下を参考にしてください。
チューブタイプ
チューブタイプは3~4cm程度が適量です。「人差し指の指先から第一関節くらいまで」と言われることもあります。指の長さは個人差があるので全ての人に当てはまるわけではありませんが、目安として覚えておくといいでしょう。特に手荒れが気になる場合は、二関節分に増やしてもかまいません。
缶タイプ
缶タイプのクリームは油分が多めでこってりしているため、適量は1.5~2cm程度とチューブに比べると少なめ。缶タイプのクリームをすくうときは「スパチュラ」を使うのがおすすめです。
指が残りのクリームに触れないので最後まで衛生的に使えて、すくう量の調節もしやすいのがメリット。購入したときにおまけで付いてくるものを使う人が多いようですが、手元にない場合はコンビニや100均で手に入る小さなプラスチックスプーンでも代用できます。
ハンドクリームの塗り方と順番
ハンドクリームを塗るときは、ゴシゴシ強くこすりつけるのは厳禁。優しく塗り広げるのがポイントです。
1.ハンドクリームを人肌程度に温めておく
ハンドクリームには油分が多く含まれているので、温めると伸びが良くなります。肌への浸透率が良くなる効果も期待できるので、じんわり手のひらの熱で温めてから塗り伸ばすようにしてみてください。
2.手のひら全体に伸ばす
ハンドクリームは手の甲に出してそこから塗り広げるという人が多いかもしれませんが、クリームを温めたあとはそのまま手のひらで伸ばしていきましょう。
3.手の甲に塗り広げる
乾燥しやすい手の甲にもしっかり塗り広げていきます。手のひらから塗り始めると量が足りないと感じたら、もしかするとクリームが少なすぎるのかもしれません。
4. 指を1本ずつ包み込むようにして塗る
優しくマッサージするように塗り込んでいくと、指先の血行が良くなって新陳代謝を促すことができます。
5.関節のシワや爪の脇にも丁寧に塗り込む
細かなシワや爪の脇はササッと伸ばすだけでは塗りモレが起こりがち。肌が薄くなる水かき部分や、赤ぎれしやすい関節のシワも丁寧に塗り込みましょう。爪の脇を塗るときは、親指と人差し指を使って両側からつまむようにマッサージすると血の巡りが良くなります。
ハンドクリームを塗る頻度とタイミング
ハンドクリームを塗る頻度は、1日に3~5回程度が目安です。塗るタイミングは「夜寝る前」「刺激になることをする前」「乾燥が気になったとき」の3点を目安にしてください。
- 洗い物やお風呂掃除などの水仕事
- 外出(気温や湿度の変化)
- 手先を使う仕事
前述したとおり、ハンドクリームはダメージを受けて肌が乾燥する「前」に塗るのが最も効率的な使い方。水仕事をするときは事前にハンドクリームを塗り、ゴム手袋などで手をカバーして刺激を減らすのが大切です。外出先での乾燥が気になる方は、手軽にさっと塗り直せる小さめの携帯用をカバンに忍ばせておくといいでしょう。
ハンドクリームの選び方と注意点
目的に応じて使い分けよう
ハンドクリームは大きく分けると「保湿系」「ビタミン系」「尿素系」の3タイプがあります。肌のお悩みに合わないクリームを使い続けていると、逆に手荒れが悪化することもあるので注意が必要です。
保湿系ハンドクリーム
ヒアルロン酸・グリセリン・コラーゲン・シアバターなどの保湿成分がメインで配合されているものは、カサつきや粉ふきなど乾燥が気になるという方におすすめ。すでにある水分を守ることに優れているので、比較的手荒れの程度が軽い方向けです。
ビタミン系ハンドクリーム
乾燥がひどくなってヒビ・赤ぎれができてしまった方には、血の巡りを良くして肌の新陳代謝を促してくれるビタミン系が向いています。ビタミン系ハンドクリームに多く含まれているビタミンCやビタミンEは、血液の流れをスムーズにする血行促進作用や血管の老化を防ぐ抗酸化作用が期待できます。
尿素系ハンドクリーム
乾燥に乾燥が進んでゴワゴワ・カチカチになってしまった肌には、硬くなった角質を溶かして柔らかくする「ピーリング効果」がある尿素を配合したクリームがおすすめ。古い角質を取り除くことで、肌の新陳代謝を促します。
尿素は肌への刺激が強いため、肌が薄い方や敏感肌の方が使うと逆効果になる場合があるので注意が必要です。初めて使う場合は配合率が10%程度と濃度が低いものから試してみてください。傷口に付けるとしみて痛むため、ヒビや赤ぎれができているときは使用を控えましょう。
尿素系ハンドクリームはゴワつきがなくなってきたら切り替える
尿素系ハンドクリームは「古い角質を溶かす」のが目的のため、常用には向きません。ゴワつきが改善されてきたら刺激が少ないビタミン系に切り替えていきましょう。
手荒れ改善が目的なら余計な成分が入っていないものを
ハンドクリームにはUVカットや美白成分が含まれるもの、いい香りの香料がたっぷり入っているものなどがあります。たくさんの成分が入っている方がオトクに感じますが、手荒れ改善のためにハンドクリームを使う場合はその他の成分がなるべく含まれていないものを選びましょう。敏感肌の方は、たくさんの成分が入っていることで肌荒れにつながる可能性があります。
赤ちゃんやペットがいる家庭では成分に注意
赤ちゃんやペットがいる家庭では、手に付いたハンドクリームをうっかりなめてしまったり、強い匂いがストレスになってしまったりするおそれがあります。万が一口や肌に触れても危なくないように、アレルギー物質が含まれていないものや無香料タイプ、オーガニック成分を使用したものなどを意識して選ぶようにしましょう。
トイレ等で手を洗うときは
ハンドクリームを塗ったあと、トイレなどで手を洗うとベタベタして気になるという方は多いと思います。こんなときはハンドクリームを一度キレイに洗い落とし、手洗いが終わったあとで塗り直しましょう。
塗った直後だともったいないと思われるかもしれませんが、中途半端にクリームが残っているとタオルにもベタベタが移ってしまいますし、手に付いた汚れを落としきれていない可能性もあるのできちんと洗いましょう。
改善しない場合は皮膚科に相談
使い方を工夫しても、種類を変えてみても、一向に手荒れが治らない……そんな状態に悩んでいるなら、もしかしたらその手荒れは「手湿疹」という病気になってしまっているかも。ハンドクリームは薬ではないので、手湿疹まで進行してしまったらいくら塗っても治すことはできません。ガンコな手荒れに悩んでいる方は一度皮膚科に相談してみましょう。
手袋をして寝るのは良くない?
いわゆる「手タレ」と呼ばれるハンドモデルさんの中には、夜寝る前のハンドクリーム+手袋(ナイトグローブ)を実践している方がいるようです。一方で「手袋をして寝るのは逆効果」と言う人もいますが、果たしてどちらが正しいのでしょうか。
ハンドクリーム+手袋(ナイトグローブ)のメリット
就寝中の乾燥を防ぐ
寝ている間は水分補給もできず、体からどんどん水分が抜けていく状態。手袋を付けておくことで、手肌から水分が出ていくのをある程度防ぐことができます。
保温されて血行が良くなる
手先が温まることで血行が良くなり、新陳代謝が促されハンドクリームの成分の吸収も良くなります。
寝具にクリームが付くのを防ぐ
ハンドクリームを付けて寝ると、寝具を触るときにベタベタ付いてしまうのが気になる方も多いと思います。手袋を付けておけば、布団やシーツにハンドクリームが付いて汚れる心配はありません。
寝ている間のかき壊しを防ぐ
赤ぎれやさかむけなど痛がゆさを感じる手荒れは、寝ている間に無意識にかいて悪化させてしまうことがあります。手袋をしていれば就寝中にかき壊してしまうのを防ぐことができるので、その分手荒れが早く治りやすくなります。
ハンドクリーム+手袋(ナイトグローブ)のデメリット
体温調節が難しくなる
就寝中に手袋を付けていると、本来なら手から放出するはずの熱が体にこもってしまい、睡眠の質が下がる可能性があります。これは靴下を履いて寝るのが良くないと言われるのと同じ理屈で、睡眠の質が落ちてしまうと肌荒れ以外にもさまざまな問題が起こりやすくなります。
湿気がこもって肌がふやける
手袋を一晩中つけっぱなしにすることで中に湿気がこもり、肌が蒸れて刺激に弱くなるとも言われています。この問題は、湿気のこもりにくい手袋を使うことである程度解決できます。シルクやコットンなど、吸湿性に優れた素材の手袋を使用しましょう。クリームが付いたままの手袋を使い回すと雑菌の繁殖につながるので、毎回使い終わったら洗濯することも大切です。
手袋を使う場合のおすすめケア方法
手袋をつけて寝る方法にはメリット・デメリット両方あります。そこでおすすめなのが、就寝より1~2時間早くハンドクリーム+手袋を付けて過ごし、寝るときに外すというやり方です。
手先の血行が良くなっているお風呂上がりのタイミングでハンドクリームを使い、寝るまでの間は手袋をつけて過ごし、就寝前に外します。スマホ対応の手袋を使えば起きている時間も有効活用できますし、寝る頃にはクリームが肌に吸収されているので寝具にベタベタ付いてしまう心配もなくなります。
ハンドクリームを塗りすぎると良くない?
「ハンドクリームは塗りすぎると乾燥する」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。これはハンドクリームの塗り過ぎのせいで乾燥したと言うより、ハンドクリームが肌に合っていなかったりお手入れの仕方が間違っていたりすることが原因です。
無香料・無添加など肌に優しいものに変えたり、正しい塗り方を実践したりして様子を見てください。ベタつくのが嫌で少量をこまめに塗り直していると言う場合は、肌がこすれて塗り直すたびにダメージを与えてしまっているのかも。適量を下回らないように意識しながら使いましょう。
ハンドクリームを正しく使って「手美人」に!
手荒れを改善してくれるハンドクリームは、上手に使うとより効果を高めることができます。正しい使い方・選び方を意識して、理想の「手美人」を目指しましょう!