クリスマスカードや年賀状でよく見かける「A Happy New Year」というフレーズ。ネットの無料テンプレートや市販のグリーティングカードにも使われていたりしますが、実は“A”をつけると間違った英語になってしまうかもしれません。「Happy New Year」と「a Happy New Year」の使い方の違いについてまとめました。
そもそも「Happy New Year」ってどういう意味?
日本では年賀状のあいさつでよく見るので「あけましておめでとう」という意味だと思っている方が多いかもしれません。
それも間違いではないのですが、英語圏ではクリスマスの前後に送り合う「クリスマスカード(グリーティングカード)」で年始のあいさつも合わせてしてしまうのが一般的。年末のあいさつとして使う場合は「良いお年を」、年明けに使う場合は「あけましておめでとう」というニュアンスになります。
単独で使う場合は「Happy New Year」が正しい
年賀状やメッセージカードなど、「Happy New Year」をあいさつの言葉として単独で使う場合は“a”をつけないのが正解です。「Happy New Year」はもともと「I wish you a Happy New Year.(あなたの新年が良いものになりますように)」という文章を省略したもの。
「Happy Birthday」「Happy Halloween」「Merry Christmas」なども、同じように「I wish you a 〇〇(良い〇〇をお過ごしください)」という文章が省略された形だと考えることができます。メッセージカードに「A Happy Birthday」や「A Merry Christmas」と書かれていたら、なんとなくおかしいと感じますよね。
日本のグリーティングカードにはときどき「Merry Christmas and a Happy New Year」と書かれているものがありますが、厳密にはこれも間違い。正しくは「Merry Christmas and Happy New Year」となります。
では、なぜ「Merry Christmas and a Happy New Year」という誤用が広まってしまったのでしょうか。これは『We Wish You A Merry Christmas』という有名なクリスマスキャロルから、歌詞の一部をそのまま抜き出したものが広まったからだと言われています。
We wish you a Merry Christmas,
『We wish a Merry Christmas』(一部抜粋)
We wish you a Merry Christmas,
We wish you a Merry Christmas,
And a Happy New Year.
文中で使う場合は「a Happy New Year」が正しい
「じゃあ“a”はつけないのが正しいんだ!」と思いきや、実はつけた方がいいケースもあります。それは『文の中のワンフレーズとして使う』とき。
上記の歌詞を例にすると、「We wish you Happy New Year.」ではなく「We wish you a Happy New Year.」が正しい形なのです。なんだかややこしく感じますね。
“a”という冠詞は「たくさんある中のひとつ」を指します。新年の過ごし方は人それぞれ。「良い新年の過ごし方といえばコレ!」と指定できるものではありませんよね。
しかし「I wish you a Happy New Year.(あなたの新年が良いものになりますように)」という文章では、たくさんある中から「あなたの新年」と1つを区別しています。
そのため「I wish you a Happy New Year.」「Have a Happy New Year.」といった文章で使うときは“a”が必要になるのです。
「Happy New Year」と「A Happy New Year」の正しい使い分け方まとめ
- 単独で使うときは「Happy New Year」
- 文章の中で使うときは「~~ a Happy New Year.」
これまで年賀状やメッセージカードで間違った使い方をしていたな……という方は、次回から“A”の使い分けを意識してみてくださいね。
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