門松の意味と飾り方

新年を迎える準備の1つとして、お正月飾りを飾る方も多いのではないでしょうか。

お正月飾りは、新年を祝うためだけに飾られるのではなく、新しい1年に幸福や豊穣をもたらす歳神様(としがみさま)を家にお迎えするという意味の慣習でもあります。

今回は、お正月飾りの中でも門松に込められた意味や飾り方に焦点を当ててご紹介します。

門松はいつからいつまで飾る?

門松を飾るのは、「正月事始め」である12月13日以降から「松の内」が終わるまでの期間とされています。

ただし、門松を飾り始める日として12月29日と12月31日は避けることをおすすめします。

29日は「二重苦」を連想させ、31日は「一夜飾り」となってしまい縁起が悪いといわれているからです。

また、松の内が終わる日は地域によって差があり、関東その他の地域は1月7日、関西では1月15日となっているので、お住まいの地域に合わせて片付けるようにしましょう。

門松の意味や由来

門松はその名の通り、本来は門(門口)に立てる松のことです。歳神様が家々を尋ねて入るときの目印や家に邪気が入り込まないようにする魔除けとして飾られてきました。

はじめは「松飾り」という松だけを飾るものでしたが、現在では松・竹・梅3つの飾りが使われることがほとんどです。

もともと松竹梅は、中国で「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼ばれ「寒さに耐える植物」「めでたいもの」としてお正月に重宝されてきました。

松竹梅それぞれには、お祝い事にちなんだ意味が込められています。

常緑樹である松は永遠の命の象徴であり、長寿を願う縁起物とされています。

また、松という読み方が「祀る(まつる)」に似ていることから、歳神様を迎えるのにふさわしい木として飾られるようになりました。

竹は、成長の早い植物であることから生命力や繁栄の象徴とされています。

また、曲がらずにまっすぐに伸びることや風や雪の中でも折れないたたずまいから、誠実さや強い志の象徴としても用いられるようになりました。

梅の花は、おめでたいとされている紅白の花を早春に咲かせることから、出世や開運の象徴とされています。

また、寒い冬の中でも花を咲かせ、芳しい匂いを漂わせるので、縁起の良い花として門松にも取り入れられているのです。

門松の飾り方

門松は、門前や玄関の脇に左右一対で飾るのが一般的といわれており、「雄松(おまつ)」と「雌松(めまつ)」の2種類があります。

玄関から向かって左側に置く雄松は、黒松と呼ばれる黒っぽい松が使われており、葉が硬く太くて長いのが特徴です。

そして、玄関から向かって右側に置くのが雌松で、赤松と呼ばれる赤っぽい松が使われており、葉が柔らかく短くて細いのが特徴になっています。

しかし、現在では赤松はほとんど使われることがなく、黒松だけの門松が主流になっているようです。

門松の切り口の種類と意味

門松の竹の切り口には、斜めに切った「そぎ」と、水平に切った「寸胴」の2種類があります。

切り方にはそれぞれ異なる意味が込められています。

斜めに切る「そぎ」

「そぎ」とは、竹の切り口が斜めになっているものを指しており、切り口が笑顔に見えることから縁起が良いとされています。

特に、お客さんが訪れる寄席や料亭などでは「中身を良く見せる」という意味から、縁起を担いでそぎ切りにしたものが選ばれているようです。

水平に切る「寸胴」

竹を水平に切る「寸胴」は、もともと門松に使われていた切り方だといわれています。

水平に切ることで竹の節がしっかり詰まっているように見えるため、お金が貯まりやすく貯蓄ができるという意味が込められるようになりました。

最近ではあまり見かけなくなりましたが、お金を扱う銀行やデパートなどの商業施設では今でも「寸胴」の門松を飾っているところがあります。

門松の処分方法

飾り終わった門松は、しめ飾りなどと一緒に「どんど焼き」でお焚き上げしてもらうのが良いとされています。

どんど焼きとは、神社などで縁起物を供養してくれる火祭りのことをいいます。

どんど焼きに参加できない場合や近くの神社で開催されていない場合でも、神社に持っていくとお清めして供養してもらえるので、問い合わせてみてください。

神社などに持ち込むことが難しい場合は、塩でお清めし、大きな紙や新聞紙などで包んで捨てるのが望ましいでしょう。

このとき注意したいのは、他のゴミと一緒にしないことと、自治体ごとの分別のルールを守ることです。

家庭でも適切に処分することで、マナー違反や不謹慎になることはありません。

松竹梅で縁起の良いお正月に

1年のスタートを晴れやかに、そして幸福と健康を願い歳神様をお迎えするために、門松は欠かせないアイテムの1つ。

松竹梅の縁起の良さにあやかって、新しい年を素晴らしいものにしていきましょう。