お正月飾りのひとつである鏡餅。なんとなく毎年飾っているけれど、実は正しい飾り方を知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は鏡餅を飾る時期や場所、飾った後の食べ方など幅広くご紹介します。
鏡餅はいつからいつまで飾るもの?
多少の地域差はありますが、一般的には「正月事始め」である12月13日以降から、「鏡開き」の日である1月11日まで飾ります。最近では末広がりで縁起がいい「八」が付く12月28日に飾り始める家庭が多いようです。
ただし、お正月飾りを大晦日に飾るのは「一夜飾り」といい、急ごしらえの飾り付けは歳神様に対して失礼だという考えから縁起が悪いとされています。
鏡餅に込められた意味
鏡餅は、家に入ってきた歳神様が山に帰るまでの間滞在する「依代(よりしろ)」と考えられています。神様が宿ったお餅を食べることで、ご利益をいただいて新年の良縁を願うという意味が込められているのです。
大小二つ重ねるのはなぜ?
大小二つのお餅は月(陰)と日(陽)を表しているといわれており、「円満に年を重ねる」「幸福と福徳(財産)が重なって縁起が良い」といった意味があります。ちなみに、一部地域では三段重ねの鏡餅もあるそうです。
鏡餅にみかんを乗せる理由
鏡餅にはみかんが付き物、というイメージがありますが、実はあの果実はみかんではなく「橙(だいだい)」というもの。橙の実は熟しても木から落ちず大きく育つため、「家が繁栄し“代々(だいだい)”続くように」という願いを込めて乗せられていたそうです。
とはいえ、みかんも縁起物のひとつなので橙の代わりにしても問題ありません。みかんなどの柑橘類はかんきつの「きつ」が「吉」に通じるため縁起が良いといわれています。
鏡餅が「お年玉」の原点!?
「お年玉」というとポチ袋に入った現金のことを思い浮かべますが、その起源は鏡餅にあります。鏡餅は鏡開きの後、歳神様の代理人とされる家長が家族に分け与えていました。このお餅を「歳玉(としだま)」といい、江戸時代頃から高度経済成長期にかけて、お餅の代わりに金銭を渡すようになっていったようです。
鏡餅を飾る場所
鏡餅は歳神様が宿る大切なものなので、家庭や会社の「主たる場所」に置くのがよいとされています。もっとも大きい鏡餅は床の間や玄関、それより小さいものを仏壇や神棚、さらに台所やトイレなどの“大切な場所”に鏡餅を飾ります。歳神様は家の中の各場所に「分霊(ぶんれい)」が宿るといわれているため、一か所だけではなくいくつ飾っても良いのです。
ただし、地域によっては「玄関は家の中の下座に当たる場所だから飾ってはいけない」「トイレは不浄な場所だから飾ってはいけない」などとされていることもあります。お住まいの地域の風習を確認してみましょう。
鏡餅の正しい食べ方
鏡餅はもともと武家の風習で、神様が宿っていた餅に刃物を当てるのは「切腹」を連想させて縁起が悪いとされていました。そのため、現代でも包丁などの刃物は使わず、手で割ったり槌で叩いて砕いたりして食べるのが慣例となっています。鏡餅を「開く」と言うのも、武家にとって縁起が悪い「切る」「割る」といった言葉を避けたためのようです。
鏡餅にカビが生えてしまったら
カビが生えたお餅は決して食べないようにしましょう。昔は「カビた部分を削れば大丈夫」と考えられていましたが、カビの胞子はとても小さいため、目に見える部分を削るだけでは完全に取り除くことはできません。さらに、有害なカビが発するカビ毒は加熱しても分解されないため、しっかり火を通したとしても安全とは言えないのです。
とはいえ、縁起物をゴミとして捨ててしまうのは抵抗があるという人も多いでしょう。鏡餅にカビが生えてしまった場合は、他のお正月飾りと一緒にお焚き上げするのがベストです。
お焚き上げが難しい場合は、「食べ物を粗末にしてごめんなさい」という気持ちを込めて塩をかけてお清めし、他の生ゴミなどとは別の袋に入れて捨てるようにしましょう。
正しい飾り方・片付け方で新年を迎えよう
鏡餅を含め、お正月飾りはどれも幸せな新年を迎えるためのものです。飾り方には地域差がありますので、お住まいの地域の慣習を調べて正しく飾るようにしましょう。