プレゼントは「贈る」と幸せになれる?心理学的効果と喜ばれる選び方

プレゼントは「贈る」と幸せになれる?心理学的効果と喜ばれる選び方

誰かにプレゼントを贈ることは、相手の幸福や喜びのためにするものだと考える人が多いでしょう。しかし 、プレゼントを贈るという行為は受け取る側だけでなく、贈る側の心理にもポジティブな影響を与えることが分かってきています。

プレゼントを贈ることで得られる心理学的効果と、相手も自分も幸福を感じられるプレゼントの選び方についてまとめました。

プレゼントを贈ると自分の幸福度が高まる

プレゼントを贈ると自分の幸福度が高まる

一般的な感覚では、他人のためにお金を使うよりも、自分のために使うほうが幸福度が高いと予測されます。しかし、実際に北米地域で行われたとある実験によれば、自分よりも他人のためにお金を使った方が幸福度が高まることが確認されました。(*1)

また、上記検証結果を受けて経済事情が大きく異なる他国(カナダ・南アフリカ・インド)で行われた実験でも同様な結果が見られました。(*2)

つまり、「もともと経済的に豊かで幸福であるから誰かのためにお金を使う」のではなく、経済的に貧しいと考えられる人々の間でも「他人のためにお金を使うことで自分の幸福度が高まる」傾向が見られたということです。

さらに、これらの因果関係は諸外国と比較して寄付や慈善活動の文化が根強くない日本でも確認されました。(*3)

お金を誰かの幸福のために使うことは自分自身の幸福感につながり、その効果は生まれ育った国や経済状況に関係なく得られるということです。

プレゼントを贈ることで得られる心理学的効果

プレゼントを贈ることで得られる心理学的効果

プレゼントを贈ることで幸福感が高まる理由には、以下の3つが考えられます。

  • 社会的なつながりが強化される
  • 自己肯定感が高まる
  • 「能動的幸福感」が得られる

人間関係が深まる

プレゼントによって人間関係を深める効果が期待できます。贈る側にとっては相手の好みや価値観について深く考える機会となり、受け取る側にとっては贈り主が自分を喜ばせるために時間やお金を使ってくれたことを感じ、好感を抱きやすくなるためです。

形に残るプレゼントならば、受け取った瞬間だけでなくその後もプレゼントの存在を通して贈り主に思いを馳せることになるでしょう。

自己肯定感が高まる

人は他人に受け入れられ、認められることで幸福を感じる生き物です。贈ったプレゼントが相手に喜んでもらえることで、自分の存在価値を再認識することができ、自己肯定感や自尊心の向上につながります。

「能動的幸福感」が得られる

幸福は大きく分けて「受動的幸福」と「能動的幸福」の2つがあります。受動的幸福とは環境要因や周囲からの働きかけによって得られる幸福、能動的幸福とは望むものを得るため自ら積極的に行動したり、人と関わったりして得られる幸福です。

プレゼントを「贈る」という能動的行動は自分の意思である程度コントロールすることができるため、周辺環境に左右されることなく幸福感を得ることができます。

喜ばれるプレゼントの選び方

喜ばれるプレゼントの選び方

自分の幸福感は「贈る」ことである程度満たされますが、贈る相手に喜ばれるものを選ぶことも豊かな人間関係を築くためには重要です。プレゼント選びに迷った際は、以下の2点がヒントになるでしょう。

相手のニーズに合ったものを選ぶ

プレゼント選びで最も大切なのは、相手のニーズに合ったものであることです。物理的な必要を満たすものだけでなく、例えば手紙やビデオレターなどのメッセージ性が強いもの、レストランの食事券や旅行チケットのような「体験型」ギフトも選択肢になります。

多くの人が経験する「思ったほど喜んでもらえなかった」という失敗は、相手のニーズの深堀りが足りないことが要因と言えるでしょう。

「“相手が欲しいもの”ではなく“自分が贈りたいもの”になっていないか」という視点を持つことが、喜ばれるプレゼント選びにつながります。

メッセージ性を持たせる

プレゼントは「何をもらったか」よりも「誰からもらったか」を重視する人が多い傾向があります。プレゼントに手紙やメッセージカードなどを添えることで、相手は「誰から、どんなときにもらったプレゼントか」を強く意識するようになり、プレゼントそのものに深い意味をもたせることができます。

「プレゼント」で自分も相手も幸せになれる

「プレゼント」で自分も相手も幸せになれる

プレゼントを日常的に贈り合うことで、自分も相手も幸福を感じる機会を増やすことができます。「誰かのために自分ができることを見つけたい」「自分自身の人生を豊かにしたい」と感じたら、まずは身近な人にプレゼントを贈ることから始めてみてはいかがでしょうか。

(*1)Dunn, E.W., Aknin, L.B., & Norton, M. I.(2008). Spending money on others promotes happiness. Science, 319, 1687-1688.(https://www.science.org/doi/10.1126/science.1150952)

(*2)Aknin, L.B., Barrington-Leigh, C.P., Dunn, E.W., Helliwell, J.F., Burns, J., Biswas-Diener,R., Kemeza, I., Nyende, P., & Norton, M. I.(2013). Prosocial spending and well-being: Cross-cultural evidence for a psychological universal. Journal of Personality and Social Psychology, 104, 635-652.(https://psycnet.apa.org/record/2013-04859-001?doi=1)

(*3)岩﨑敬子(2021年7月)「他人の幸せの為に行動すると、幸せになれるのか?―利他的行動の幸福度への影響の実験による検証―」ニッセイ基礎研所報vol65, p57-p62(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67315?pno=2&site=nli)