人がたくさんいるところは何かと気を使うwithコロナ時代。新年は幸多く過ごしたいけれど、初詣に行くのはちょっと心配……とお悩みの方も多いと思います。
お正月の「三密」状態を避けるため、年内のうちに初詣を済ませたという方も少なくありません。(ちなみに、年内に前倒して参拝することを「幸先詣(さいさきもうで)」と言います)
三が日の感染拡大を防ぐため、各地の神社でさまざまな取り組みがされているのをご存じでしょうか。今回はおうちにいながらお参りができる「リモート初詣(オンライン初詣)」についてご紹介します。
リモート初詣(オンライン初詣)とは?
リモート初詣とは、パソコンやスマートフォンを使って遠隔で初詣を済ませることです。2020年5月ごろにメディアで「リモート参拝」が取り上げられてから少しずつ広まり、初詣もリモートで行おうという動きが活発になっています。
実際に神社に足を運ぶことなく自宅からお参りができるため、昨今の状況を踏まえて取り入れる寺社が増えているようです。感染予防の一環としてはもちろん、病気やケガで療養中の方や足腰の弱い高齢者が気軽に参拝できるメリットがあります。
リモート初詣のやり方
リモート初詣の内容は各神社によってさまざまです。今回は代表的な神社の例をご紹介します。
お願い事を神社に送る「ことだまいり」
「ことだまいり」は、福岡県・石穴稲荷神社が全国ではじめての初詣スタイルとして実施した“距離を超えて祈りを届ける”新しい参拝方法です。
願い事を書家の方が1人分ずつ半紙にしたためて奉納する「書のかたち」と、専用フォームに入力した願い事を宮司さんが奉納する「文(ふみ)のかたち」があります。
どちらも手続きは全てオンラインで完結し、奉納された願い事はちゃんとお焚き上げまでやってくれるようです。「書のかたち」では、後日大麻(=神社からもらうお札)かお守りを郵送してもらえます。
石穴稲荷神社公式ホームページをチェック動画や画像を見ながらお参り
各神社の公式サイトに掲載されている動画や静止画を見ながら、参拝を疑似体験できる方法です。基本的に会員登録などは不要で、インターネット環境さえあれば誰でも利用できます。
東京都・愛宕神社の「ヴァーチャル参拝」は、大鳥居をくぐるところから手水舎、社殿外観、お賽銭箱……と、実際のお参りルートに合わせて写真が掲載されているのがポイント。初めての方も実際に参拝している気分を味わえるでしょう。
社務所のページでは無料でおみくじが引けるようになっています。新年初の運試しにどうぞ。
愛宕神社公式ホームページをチェック奈良の大仏で有名な東大寺では、境内の様子を実際に散策しているように疑似体験できる「3Dバーチャル参拝」が公開されています。
360℃カメラで撮影しているので、いろいろな角度で神社内を見ることができて面白いです。実際の参拝では立ち止まってゆっくり見られないところもじっくり時間をかけて眺められますよ。
インフォメーションの「i」マークが出ているところをクリックすると、詳しい説明が表示されます。
東大寺公式ホームページをチェック代理祈祷・通信祈祷
直接参拝できない事情を抱えた人の代わりに本人以外の人が参拝することを「代理祈祷」や「代拝(だいはい)」と言います。これは古くからある参拝方法ですが、コロナ禍を機に利用する人が増えているようです。
郵送などで祈祷を申し込み、参拝も神社側でやってもらうスタイルを特に「通信(郵送)祈祷」と呼びます。祈祷の受付方法は神社によってまちまちなので、事前に申し込み方法をよく確認しておきましょう。
「通信祈祷」に郵便・FAX・メールで申し込みができる城山八幡宮公式ホームページをチェック自宅を神社に見立てる「遥拝」
こちらも代理祈祷と同じく昔からある方法で、遠く離れたところから神社がある方向に向かって拝むことを「遥拝(ようはい)」と言います。
本来は専用に設けられた「遥拝所」でするものですが、家中をきれいに清めて仮の遥拝所としてみるのもいいでしょう。大掃除にも気合が入りそうですね。
神棚があるご家庭では、神棚を通じて「二拝二拍手一拝」をします。なければ神社がある方向に向かってすればOKです。
リモート初詣のお賽銭はどうする?
キャッシュレス決済の普及を受けて、近年ではお賽銭もオンライン決済に対応している神社が増えてきました。
とはいえ、キャッシュレスのお賽銭は実際に現地まで行って、神社に掲示されているQRコードを読み取るなどして行うことを想定したものです。リモート初詣をするときは、次のような方法でお賽銭をお供えできます。
ライブ配信で「投げ銭」
リモート初詣を実施している神社の中には、動画配信サービスを使ったライブ配信をしているところもあります。配信中にはいわゆるおひねりを「投げ銭」と称して送金することができ、この機能で送ったお金をお賽銭とすることができます。
ライブ配信を予定している平等寺公式ホームページをチェックリモート初詣でもお守り・御朱印がほしい!
リモート初詣の流れに合わせ、オンラインでお守りなどを受け取れる「オンライン授与所」を開設しているところもあります。品目は神社によってまちまちなので、オンライン授与所をいろいろ見て回ってから参拝するところを決めるのもいいかもしれません。
お守り・御朱印・飾り絵馬などを取り扱っている「オンライン授与所」がある福島八幡宮公式ホームページをチェックさいごに
リモートでお参りすることにはまだまだ賛否両論ありますが、普段は足を運べない遠方の神社を知る良い機会でもあります。詳細を知りたい方はぜひ公式サイトでチェックしてみてください。
ちなみに、お正月三が日のうちにお参りするようになったのは明治以降のことで、比較的新しい風習だとか。それまでは「外に出かけていると神様が運んできた運気をもらいそびれる」という考えがあったため、自宅や地元の神社にこもって過ごすのが一般的だったそうです。
直接のお参りは安心して出かけられるようになるまで待つこともできます。“今だからこそ”のリモート参拝をおうちでゆっくり堪能してみてください。