9月8日は「スペインワインの日」です。ワインと言えばフランスやイタリアのイメージがありますが、スペインは「世界三大ワインの国」と言われるほどのワイン大国です。初めてでも失敗しないスペインワインの選び方と、プレゼントにも喜ばれるおすすめスペインワインをご紹介します。
「スペインワインの日」の由来

9月8日が「スペインワインの日」になったのは、1932年9月8日にスペインで「ワイン法(Estatuto del Vino)」が承認されたことに由来します。ワイン法とは、ワインの品質を保つためその生産方法やラベルの記載内容を厳格に規定する法律です。
「スペインワインの日」は、スペインワインの素晴らしさを広めることを目的として活動するスペインワイン協会によって制定されました。
スペインワインの特徴

スペインは国土全体がブドウ栽培に適した気候で、かつ地域ごとに土壌の性質が異なります。そのため、栽培されているブドウの品種は非常に多くワインの種類も多種多様です。さらに、スペインはオーガニック栽培のブドウ畑の面積が世界一で、自然に優しい持続可能な農業で作られたワインが多いのも特徴と言えるでしょう。
スペインワインは「安価でコスパが良い」というイメージを持たれがちですが、日本での流通量は少ないものの、中・高価格帯のスペインワインも数多くあります。フランス産やイタリア産と比べても遜色ないクオリティなので、いろいろな銘柄を飲み比べてお気に入りを探してみましょう。
おいしいスペインワインの選び方
スペインワインで特に有名なのはスパークリングワインの「カヴァ」や、ブランデーでアルコール度数を高めた「シェリー」などですが、それ以外にもたくさんの種類があります。「選択肢が多すぎてどう選べばいいか分からない」と感じたら、次の3点を意識してみましょう。
色で選ぶ

ワインは大きく赤・白の2種類に分けられます。「シェリー」はひとつのカテゴリとして扱われることもありますが、厳密には白ワインの一種です。
品種や熟成期間によっても味わいは異なりますが、全体的な傾向として、赤ワインは果実味がしっかりとした濃厚な味わいで、熟成期間が長くなるほどまろやかな味わいになります。白ワインはフレッシュでフルーティーな風味と、しっかり残った酸味のバランスが良いタイプです。
ワイン初心者で赤と白のどちらが自分に合っているか分からない場合は、比較的アルコール度数が低く、口当たりが軽くていろいろな料理と合わせやすい「白」を選ぶと良いでしょう。赤ワインにも初心者向けの銘柄はありますが、渋み・酸味の強さやアルコール度数など見るべきポイントが多いので、選ぶのに少し手間がかかるかもしれません。
品種で選ぶ

スペインでは約160種のブドウが栽培されており、それぞれに異なる特徴があります。まずは代表的な品種から、好みに合いそうなものを探してみましょう。
| 品種名 | 主な色 | 特徴 |
| Tempranillo(テンプラニーリョ) | 赤 | ストロベリーやプラムなどの赤系果実の風味がある。香り・まろやかさ・酸味のバランスが良く、長期熟成に向いている。 |
| Garnacha(ガルナッチャ/グルナッシュ) | 赤 | フルーティーなラズベリーの香り。糖度が高いので甘口ワインの原料に使われる。テンプラニーリョなど他の品種とブレンドされることが多い。 |
| Parellada(パレリャーダ) | 白 | カヴァの主要品種。花のような香りとしっかりした酸味・ボディが特徴。 |
| Albariño(アルバリーニョ) | 白 | 桃やグレープフルーツを思わせる爽やかな香り。酸味は強めで、海を感じさせるミネラル感もある。 |
| Bobal(ボバル) | 赤 | スペインの固有品種で、他の国ではあまり見られない。天候の変化や病気に強く、濃厚な色のワインになる。 |
| Mencía(メンシア) | 赤 | タンニンや酸味はやや少なめでフレッシュな味わい。2000年代から高品質な赤ワインが造られるようになり注目を集めている。 |
| Xarel·lo(シャレロ) | 白 | カヴァの主要品種のひとつ。香り豊かで酸味・フレッシュさがあり、ミネラル感のあるワインが多く造られる。近年では単一品種のワインとしての評価も上がっている。 |
| Verdelho(ベルデホ) | 白 | パレリャーダ・シャレロと並ぶカヴァの主要品種。フレッシュかつコクのある味わい。柑橘類やハーブの香りが特徴的なワインが造られることが多い。 |
産地(格付け)で選ぶ
スペインワインの格付けは、底辺から頂上まで6層に分かれたピラミッド型で表現されるのが一般的です。この格付けはEUの「原産地呼称制度」に準拠しているため、産地ごとの気候・土壌・伝統が品質保証につながります。

ヴィノ・デ・パゴ/V.P.(単一ブドウ畑限定高級ワイン)
ピラミッドの頂点に位置する最高級ワイン。気候・土壌・標高などがワイン造りに適していると認められた限定の畑で生産されており、「この畑でしか出せない」個性が現れます。
デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ/D.O.C.(特選原産地呼称ワイン)
D.O.(原産地呼称ワイン)の認定から10年以上経過した中から、厳しい基準で昇格が認められた高品質ワインを指します。現在D.O.C.に格付けされているワインは、リオハとプリオラートの2つのみです。
デノミナシオン・デ・オリヘン/D.O.(原産地呼称ワイン)
土壌・品種・醸造方法などが法律で規定されている上質ワインを指します。スペインで生産されるワインの約6割を占めており、スペインワインの中核的なカテゴリです。
ヴィノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・へオグラフィカ/V.C.(地域名称付き高級ワイン)
2003年に新しくできた格付けです。特定の地域で収穫されたブドウを原料として造られ、地域性が表現されたワインを指します。この格付けで5年以上の実績を積むと、D.O.(原産地呼称ワイン)への昇格を申請できます。
ビノ・デ・ラ・ティエラ/Vino de la Tierra
生産された町や地方の名前が併記されたもので、いわゆる地方ワインのことです。産地の表記はできますが、上位の格付けに比べると規定はかなり緩やかと言えます。
ビノ/Vino
一般的に大量生産されるワインを指し、テーブルワインと呼ばれます。格付けのない地域・畑で栽培されたブドウを使用したものや、異なる地域・畑のワインをブレンドして造られたものなどの総称です。かつては地域名、品種名、収穫年などの表示が一切認められていませんでしたが、近年の法改正により、条件を満たせば品種名や収穫年を表記できるようになりました。
ワイナリーで選ぶ

スペインワインは使われるブドウの産地や品種だけでなく、造り手(ワイナリー)によっても異なる個性が現れます。代表的なワイナリーとその特徴は以下のとおりです。
| ワイナリー | 特徴 |
| Marqués de Riscal(マルケス・デ・リスカル) | スペイン王室専用ワインも手掛ける、国を代表するプレミアムワインの造り手。日本で販売されているのは1,000円台のものが多く、コスパ面でも優秀。ワイナリー敷地内に併設されたホテルは特徴的なデザインから観光名所にもなっている。 |
| La Rioja Alta(ラ・リオハ・アルタ) | 1890年創業の老舗。ブドウのオリジンや醸造の記録を入力したチップを全ての樽に取り付けるなど、最新技術の導入にも意欲的。 |
| Vega Sicilia(ベガ・シシリア) | フランスからの外来品種とテンプラニーリョを独自にブレンドしたワインがバルセロナ万国博覧会で金賞を獲得したことで、一躍有名となった。近代的な技術を取り入れつつ、クラシックな古き良きスペインワインの味わいを守り続けている。 |
| Álvaro Palacios(アルバロ・パラシオス) | 荒廃していたプリオラートを高級ワイン産地として蘇らせた「プリオラート4人組」の一人、アルバロ氏が創業。自然を尊重し、土地を愛し、ガルナッチャを中心に伝統的な方法に則ったワイン造りを行っている。 |
| Torres(トーレス) | 「キング・オブ・スペイン」とも称される、150年以上の歴史を持つ名門ワイナリー。幅広い種類を生産する選択肢の多さと、お手頃価格で手に入るコスパの良さが魅力。 |
| Bodegas Martín Códax(ボデガス・マルティン・コダックス) | 生産するワインの原料はアルバリーニョが主体。和食との相性が良い白ワインとしても人気がある。収穫量が少ないため、取引価格の高さはトップクラス。 |
プレゼントにも自分用にも!おすすめスペインワイン3選
ここからは人気のスペインワインをピックアップしてご紹介します。お酒好きさんへのプレゼントにも、自分へのプチご褒美にもぴったりな銘柄を集めました。
公式な有機栽培認証団体から認定を受けた畑で栽培・収穫されたブドウのみを使用した赤ワイン。初心者さんにも飲みやすいライトボディです。ボトルに入れられる彫刻デザインは実に75種類。ラッピングやのし紙などのオプションも充実しているので、プレゼントに◎
畑やブドウの違いが楽しめる、厳選されたスペインワインの4本セット。ウルテリオールはラテン語で「未来」「新しい土地」という意味。代々受け継がれてきた土地で、未来を見据えて造られた本格ワインです。
しっかりしたコクと重みが感じられるリオハの赤ワイン。それでいてスッキリした味わいなので、お肉料理との相性はバツグンです。長期間じっくり熟成されて生まれたまろやかな味わいと豊かな風味が楽しめます。


