大晦日に食べるものといえば年越しそばが定番ですね。ところで、なぜ年越しにそばを食べるようになったかご存じでしょうか。今回はあまり知られていない年越しそばの由来と、ちょっと気になるあんな疑問やこんな疑問にお答えします。
年越しそばの由来
年越しにそばを食べる習慣は江戸時代に定着したといわれています。その由来には複数の説があるようです。
- そばは他の麺類に比べて切れやすいことから「今年一年の厄を断ち切る」ことを願った説
- 麺の形状から、寿命や家運が「細く長く」続くように願った説
- そばの実が「厄を払う」力があるとされる三角形だったため
- そばが心臓や肝臓などの「五臓」の毒を取ると信じられていたため
- 金銀細工師が散らばった金粉を集めるのにそばがきを使っていたことから、金運を呼ぶ縁起物とした説
- 鎌倉時代の「世直しそば」に由来する説
「世直しそば」とは、年の瀬を越せない貧しい町人に博多の承天寺がそば餅を振る舞ったところ、翌年から皆に運が向いてきたという伝説です。現代では1や2の意味がよく知られていますが、かつてはさまざまなゲンを担いで年越しそばを食べていたのかもしれませんね。
年越しそばはいつ食べるのが正解?
年越しそばは「年越し間際の深夜に食べるもの」だと思われている方も多いのですが、実は大晦日のうちに食べ終われば何時に食べてもOK。朝食や昼食に食べてしまってもかまいません。「何時頃に食べるのが正解」というルールはないので、都合のいい時間に年越しそばを楽しみましょう。
年越しそばにおすすめの具材
年越しそばとの相性がいいものの中から、「縁起のよさ」にフォーカスしておすすめの具材を3つご紹介します。
エビ
エビは長いひげと曲がった背中が老人を連想させることから「健康長寿」の縁起物です。そばと合わせるときは天ぷらが一般的ですが、茹でておめでたい赤色を楽しむのもおすすめ。
かまぼこ
おめでたい紅白のかまぼこは、年越しそばだけでなくおせちなどの祝い膳でもおなじみ。半月状の形が初日の出のように見えるのも縁起がいいとされる理由のひとつです。
とり天
「幸せや運気を“とり”こむ」「取り点(=点を取る)」などの語呂合わせから、特に受験生に人気の縁起物です。受験前のお夜食にもおすすめ。その他の縁起のいい食べ物についてはこちらを参考にしてください。
【縁起のいい食べ物】ゲンを担いでお腹も心も満たされよう!年越しそばの代わりにうどんはダメ?
実は、地域によってそばの代わりに「うどん」を食べるところもあります。うどんそのものが「運を呼ぶ」縁起物とされていること、そばの「細く長く」に対して「太く長く」という願いを込めて食べられており、どちらがいい・悪いということはありません。
「アレルギーでそばは食べられない」「大晦日に買いに行ったらそばが売り切れていた」という方は、うどんで年越しを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ちなみに「うどん県」とも呼ばれる香川県では、年明けにうどんを食べる「年明けうどん」という習慣があります。新年が幸せな年になるようにとの願いを込め、かまぼこやエビなどを使って紅白に彩られたうどんを1月15日までに食べるそうです。
年越しそばを食べ残すとどうなる?
縁起物である年越しそばですが、一方で「食べ残すと新年はお金に苦労する」という言い伝えも広く伝わっています。食事を残さずきれいに食べるのは基本的なマナーではありますが、一年の締めくくりである大晦日はなおさら気持ちよく終えたいもの。縁起物だからといって欲張りすぎず、無理せず食べ切れる量を心がけましょう。
おいしいそばで年越しに備えよう!
年越しそばには新年を元気で健やかに迎えたいという願いが込められています。毎年食べているという人も、そうでない人も、おいしいそばで年末を過ごしてみてはいかがでしょうか。