どの季節よりも空気が澄んだ冬の空は、星空観賞には最高のコンディション。予備知識として星座を頭に入れておけば、星空観賞をきっと誰よりも楽しめるでしょう。
今回は「冬の星座16種類」を画像付きで解説します。各星座のモチーフや特徴、まつわる神話、見つけ方まで知れば、きっとあなたは星座の面白さにハマります。
「冬の星座や一等星を知りたい!」「星空観賞をもっと楽しみたい!」「恋人や友人に豆知識を披露したい!」と思う方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
冬の星座一覧
ここでは冬の星空を彩る星座16種類を一挙にご紹介します。今回ご紹介する星座は、下記のとおりです。
- オリオン座(一等星:ベテルギウス)
- おおいぬ座(一等星:シリウス)
- こいぬ座(一等星:プロキオン)
- おうし座(一等星:アルデバラン)
- ぎょしゃ座(一等星:カペラ)
- ふたご座(一等星:ポルックス)
- いっかくじゅう座
- やまねこ座
- うさぎ座
- エリダヌス座
- きりん座
- ちょうこくぐ座
- はと座
- ろ座
- 冬の大三角形
- 冬の大六角形
各星座のモチーフや特徴、神話、見つけ方まで幅広く解説していきます。これから星空観賞に挑戦する予定なら、ぜひとも今回の解説を参考にしてみてください。
オリオン座(一等星:ベテルギウス)
冬の星座として、真っ先にオリオン座を浮かべる人も多いでしょう。オリオン座は、狩人オリオンの雄大な姿をモチーフとした、冬の代表的な星座です。
同じような明るさの「三ツ星」が綺麗に並び、その周囲を4つの星が取り囲む、特徴的な形をしています。三ツ星を頼りに、南の空を探せばすぐに見つかるでしょう。
なお三ツ星の左上に位置するベテルギウス、右下に位置するリゲルは、一等星に分類されます。なかでもベテルギウスは「冬の大三角形」の一角です。
おおいぬ座(一等星:シリウス)
オリオンが連れていた猟犬の姿をモチーフにしたと言われるおおいぬ座。オリオン座から少し南東側にずらした辺りに位置しています。
おおいぬ座の口元辺りでひときわ輝く星が、一等星のシリウスです。地球から見える恒星の中で、太陽を除くともっとも明るく、強く青白い光を放っています。
古代には神として崇められたシリウスは、ひときわ目立つ存在。シリウスを目印に、右側に足を延ばすように点在した星々から、おおいぬ座を見つけられるでしょう。
こいぬ座(一等星:プロキオン)
おおいぬ座と同様に、オリオンが連れていた猟犬がモチーフになったこいぬ座。おおいぬ座と比べて小さく可愛らしい子犬に見えることから、その名が付きました。
こいぬ座は、冬の大三角を形成する「プロキオン」と、三等星の「ゴメイサ」を結んだ小さな星座です。天の川をはさんで、おおいぬ座の反対側に位置しています。
一等星の「プロキオン」という名前は「犬の前に」といった意味を持ちます。おおいぬ座の「シリウス」よりもわずかに早く地平線にあがることが由来です。
おうし座(一等星:アルデバラン)
狩人オリオンに襲い掛かる、牡牛(雄の牛)をモチーフにしたのがおうし座です。星占いに使われる黄道十二星座のひとつとしても、聞きなじみがあるでしょう。
おうし座の主役を張るのは、赤く輝く一等星「アルデバラン」。オリオン座の三ツ星を結んだ線を目印に、東から西にたどっていけば簡単に見つかるでしょう。
アルデバランの付近にはヒアデス星団が、西側には「すばる」の名で親しまれているプレアデス星団が散開しており、たくさんの小さな星々の輝きを楽しめます。
ぎょしゃ座(一等星:カペラ)
ヤギを抱く男性の姿を表現したぎょしゃ座。ぎょしゃとは「馬や戦車を扱う者」を意味し、この男性はギリシャ神話に登場するアテネの国王がモチーフです。
ぎょしゃ座を形成する五つ星は、将棋の駒のような五角形に配置されています。黄色みを帯びた一等星の「カペラ」は冬の星座の中で「シリウス」に次ぐ明るさです。
カペラは多くの星が取り巻く天の川でも、ひときわ目立つ存在感を放ちます。おうし座の北寄りのツノの先端をたどれば、ぎょしゃ座が簡単に見えてくるでしょう。
ふたご座(一等星:ポルックス)
文字通り、双子の男の子が仲良く並んだ様子をモチーフにしたのがふたご座です。おうし座と同様に、星占いでおなじみの黄道十二星座のひとつにあたります。
ふたご座の目印は、同じくらいの明るさで並んだ星「カストル」と「ポルックス」でしょう。双子それぞれの頭部にあたる場所に位置しています。
一等星「プロキオン」を持つこいぬ座から、北にずれたところに見つかるはずです。ちなみにギリシャ神話に登場するゼウスとレダの間に生まれた双子が由来だとか。
いっかくじゅう座
ヨーロッパの伝説の動物、ユニコーンをモチーフにしたいっかくじゅう座。ユニコーンとは、額の中央に1本のねじれた角を持つ馬という架空の存在です。
いっかくじゅう座は、冬の大三角の真ん中という目立つ場所に位置しています。しかし四等星を中心に構成された星座であり、よほど澄んだ夜空でないと見えません。
また他の星座が紀元前2世紀に発見されたのに対し、いっかくじゅう座は、17世紀にドイツの天文学者バルチウスによって発見された比較的新しい星座です。
やまねこ座
山猫のスマートな体躯をモチーフにしたやまねこ座。三等星1個、4等星5個などと、他の星座と比べて大きく目立つ星を持たない冬の星座です。
やまねこ座は、17世紀に天文学者ヘベリウスにより発見された新しい星座です。明るい星を持たず、ぎょしゃ座とおおぐま座の隙間に、ひっそりと位置しています。
そのためやまねこ座を発見するのは、そう簡単ではありません。発見したヘベリウス自身も「この星座を見るために、山猫のような鋭い目が必要だ」と述べています。
うさぎ座
狩人オリオンの足元で逃げ回るうさぎをモチーフにしたうさぎ座。ギリシャ神話では、オリオンが踏みつぶしたうさぎを、哀れんだ神が星座にしたとされています。
うさぎ座は、三等星と四等星のやや暗めの星で形成された小さな星座です。しかし明るい星を持つ特徴的なオリオン座の足元を見れば、簡単に見つかるでしょう。
エリダヌス座
大きく左右に蛇行して地平線へと消えていく川をモチーフにしたエリダヌス座。その名は、ギリシャ神話に登場する「エリダヌス川」が由来となっています。
見つけるときは、オリオン座の足元にある一等星リゲルが目印です。その真上の三等星クルサを先頭に、南西方向へと星をつないだ川が、地平線まで流れています。
きりん座
北の空に横たわる大きなキリンの姿をモチーフにしたキリン座。もともとは「らくだ座」と名付けられたのに、本による伝承の中でキリンに転じた珍しい星座です。
一年中北の空を巡る周極星ですが、明るい星を持たないため、そう簡単には見えません。日本では冬の夜空で、こぐま座とぎょしゃ座の中間に発見できるでしょう。
ちょうこくぐ座
芸術家が彫刻をするときの道具をモチーフにしたちょうこくぐ座。フランスの天文学者ラカイユが設定した美術道具シリーズのひとつです。他にがか座やちょうこくしつ座などがあります。
四等星1個、五等星3個などと暗めの星で形成された見つけにくい星座です。エリダヌス座の下流側から少し東にずれた、はと座との中間に位置しています。
はと座
旧約聖書のノアの箱舟の物語に登場する、オリーブの枝をくわえた鳩の姿をモチーフにしたはと座。フランスの建築家ロワイエによって設定された新しい星座です。
三等星や四等星などの暗い星で形成されており、発見するのは難しいかもしれません。うさぎ座の南側かつ、おおおいぬ座の後ろ足付近に位置しています。
ろ座
化学実験用の「炉」の形をモチーフにしたろ座。冬の星座では、ちょうこくぐ座と同じくフランスの天文学者ラカイユが設定した、科学道具シリーズのひとつです。
ろ座はエリダヌスをはさんでちょうこくぐ座の反対側に位置しています。四等星や五等星を中心に形成されており、明るい星がないので見つけるのは大変困難でしょう。
冬の大三角形
誰もが一度は聞いたことがある「冬の大三角形」。各星座を形作る3つの一等星から作られる冬の大三角形は、まさに冬の星空観賞のガイド役とも言えます。
冬の大三角形を形成する一等星は、以下のとおりです。
- オリオン座のベテルギウス
- おおいぬ座のシリウス
- こいぬ座のプロキオン
南の空を見上げれば、赤く輝くベテルギウスや、冬空でもっとも明るいシリウスが簡単に見つかるはず。特徴的な形のオリオン座から探してみるのがオススメです。
冬の大六角形
「冬の大三角形」の影に隠れて知名度はそう高くないものの、冬の星空は別名「冬のダイヤモンド」とも呼ばれる「冬の第六角形」を楽しむことができます。
冬の大六角形を形成する星は、以下のとおりです。
- おおいぬ座のシリウス
- オリオン座のリゲル
- おうし座のアルデバラン
- ぎょしゃ座のカペラ
- ふたご座のポルックス
- こいぬ座のプロキオン
赤く輝くオリオン座のベテルギウスを取り囲むように、6つの星が配置されています。明るい星の集まりさえ見つければ、簡単に六角形を描けるでしょう。
冬の星座・星空観賞に必要な持ち物
星座の知識を押さえたところで、次は実際に星空観賞に必要な持ち物をそろえていきましょう。冬の星空観賞に必要な持ち物は、下記のとおりです。
- 防寒具
- 懐中電灯
- コンパス&時計
- レジャーシート・寝袋
- 星座早見盤
- 双眼鏡・天体望遠鏡
ひとつずつ詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
防寒具
冬の夜の星空観賞となると、いつも以上に大変冷え込むので、入念な防寒対策が必要です。日中は天気が良くてどれだけ温かくても、夜は気温がガクッと下がります。
普段よりも多めに着込んで、フリースやダウンジャケットなどの防寒着をはおり、ニット帽や手袋、使い捨てカイロなども用意しましょう。
懐中電灯(スマホで代用可)
星空観賞で人気のスポットには、都会のような街灯がありません。そのため向かう道中、安全な足場や正しい進路を確認するためにも、懐中電灯を使いましょう。
ただし使用時は、不用意に他の人に明かりを向けてしまい、暗闇に慣れた目を戻すといった迷惑をかけてはいけません。また明るすぎるときは、赤いセロファンなどで光をカットすると良いでしょう。
方位磁石&時計(スマホで代用可)
星や星座を見つけるとき、まずは方角や時刻が頼りになります。とはいえ、冬の星空観賞であれば「冬の大三角形」さえ見つければ、あとは簡単です。
方位磁石(コンパス)は、文具店や100均で簡単に入手できます。しかし最近のスマホであれば、標準アプリとしてインストールされている場合もあります。無料アプリもあるので、無理に購入する必要はありません。
レジャーシート・寝袋
ゆっくりと星を眺めるなら、レジャーシートや寝袋があると便利です。寝転んで空を見上げれば、降り注ぐような星空に身を包まれて、存分にリラックスできます。
レジャーシートや寝袋をひいて横になるときは、車や人の行き来がない、安全な場所を選びましょう。また代替案として、折りたたみイスなどもあれば重宝します。
星座早見盤
星座早見盤とは、日付と時刻、方角を合わせれば簡単に星座が見つけられる特殊な道具のことです。これを使えば、初心者でも簡単に冬の星空観賞を楽しめます。
最近ではスマホの星座アプリでも、星座早見盤を使えるので代用可能です。本物がほしい人は、文具店やおもちゃ屋、ホームセンター、ネットショップなどで入手できるでしょう。
双眼鏡・天体望遠鏡
双眼鏡や天体望遠鏡を使えば、さらに星空観賞が充実することでしょう。双眼鏡は手軽なのに、明るい星や星座、天の川などを大迫力に楽しめるアイテムです。
天体望遠鏡なら月のクレーターや土星、木星まで観察できます。本格的な星空観賞に挑みたいなら、購入を検討してみましょう。
冬の星座・星空観賞の注意点
「早く星空を見たい!」「冬の星空観賞が待ち遠しい!」と、はやる気持ちはわかります。ただし冬の星空観賞だからこそ、注意すべきことがあるのです。
冬の星座・星空観賞の注意点は、以下の3つです。
- 防寒対策を徹底的に
- 何よりも安全を第一に
- 入念な下準備を忘れずに
万が一のアクシデントや病気から身を守るため、ぜひこれからご説明する注意点を参考にしてください。
防寒対策を徹底的に
「冬の星空観賞に必要な持ち物」でも説明したとおり、防寒対策は徹底的に行いましょう。特に真冬の夜中は、日中が晴れていたとしても大変冷え込むので注意が必要です。
寒すぎて外にいられなかったり、凍えそうで気が散ったりしては、ゆっくりと星を眺められません。長時間滞在することを考えて「念には念を」で用意しましょう。
何よりも安全を第一に
星空観賞に夢中になって、羽目を外しすぎないよう要注意です。大自然の中で気持ちが大きくなって、普段よりも危険が伴う行動を起こす人もなかにはいます。
特に夜中は明かりが少ないので、危険な足場や間違った進路には気を付けましょう。クマなどの獣は真冬でも冬眠しないケースがあるので、山で観賞する場合は万が一に備えてクマよけの鈴やスプレーなども準備しておくといいでしょう。
入念な下準備を忘れずに
レジャーシートの上に寝そべり、満点の星空を眺める。それだけでも楽しいのは間違いありません。しかし星や星座がわかれば、もっと深い思い出になると思いませんか。
ぜひ本記事で紹介した知識を頭に入れてから、星空観賞に臨んでみてください。一緒に行く恋人や友人、家族にその知識を披露すれば、周囲もさらに楽しめますよね。
さあ、冬の星空を楽しもう
今回は冬の星・星座の種類や見つけ方についてご紹介しました。名前だけ知っていたような星座も、知れば知るほど奥が深いと思ったのではないでしょうか。
美しい星空を眺めながら、星座の知識を披露できれば、もう初心者ではありません。これから星空観賞に挑戦する人は、本記事を何度も読み返してみてくださいね。