いつもと同じお料理も、盛り付けるだけでおしゃれになる木製食器。天然素材ならではのナチュラルな見た目や手触りが魅力的ですが、お手入れが大変そうと考えて手を出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
難しく思われがちなお手入れ方法ですが、「高温にさらさない」「すぐ洗ってよく乾かす」という2つの基本をおさえれば、カビやヒビ割れを防いで長く使うことができます。木製食器のお手入れ方法でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
木製食器のメリット・デメリット
木製食器のメリット
- 陶磁器の食器に比べて、軽くて丈夫
- 写真映えがいい
- 温かい料理は冷めにくく、冷たい料理はぬるくなりにくい「断熱・保温性能」
木製食器を使う多くの人が魅力を感じるポイントは、見た目や手触りから木の温かみが感じられること。他の素材の食器に比べて落としても割れにくいので、小さなお子さんがいる家庭でも人気があります。
木製食器のデメリット
- お手入れの仕方を間違えると、カビやヒビ割れの心配がある
- ニオイや汚れを吸い込みやすい
- 高温に弱い
木製食器はプラスチックや磁器の食器に比べると、天然素材だからこそのデリケートな面があります。後で詳しく解説しますが、電子レンジや食洗機など高温になる電化製品は使うことができません。
木製食器は種類によってお手入れ方法が異なる
木製食器は、汚れを防いだりツヤを出したりするための塗料が塗ってあります。仕上げに使われた塗料の種類によって若干お手入れ方法が変わりますが、市販されている木製食器はお手入れがしやすいウレタンなどで塗装されたものが多いようです。
オイルフィニッシュ製
オイルフィニッシュとは、木の内部にオイルを染み込ませる仕上げ方法です。表面に膜ができないため、木の手触りや風合いを最大限に楽しむことができます。木製品の醍醐味である経年変化が楽しめるのも特徴です。その代わり水や汚れには弱いため、お手入れに気を使ってあげる必要があります。
ラッカー・ウレタン塗装
ラッカーやウレタンを使った塗装では、木の表面に膜を作ることで水や汚れが染み込みにくくなります。お手ごろ価格で手に入り、オイルフィニッシュ製に比べて水や衝撃に強いのも魅力です。
毎日の洗い方・お手入れ方法
使い終わったらすぐ洗う
汚れたままの食器を放置しておくと、シミやカビの原因となります。特にオイルフィニッシュ製の食器は水にも汚れにも弱いため、つけ置きなどはせず使い終わったらなるべく早く洗ってあげましょう。
やわらかいスポンジと中性洗剤で洗う
木に傷をつけないように、やわらかいスポンジと食器用中性洗剤で洗います。オイルフィニッシュ製の食器は洗剤を使うと油分が抜けやすいので、汚れがひどくなければ水だけで洗っても大丈夫です。
水気を拭き取りよく乾かす
乾いたふきんなどで水気を拭き取り、風通しの良い日かげでしっかり乾燥させます。濡れたまま水切りカゴなどに置いておくと、底の方に水がたまってカビが生えやすくなります。
木製食器でやってはいけないこと
長時間水に浸ける
木は水分を吸うと膨らみ、乾くと縮む性質があります。長時間水につけると形が歪んだり、乾いたときにヒビ割れたりしてしまう原因となります。水を奥深くまで吸うことで乾くまで時間がかかり、カビが生える原因にもなります。
漂白剤を使う
木製食器に漂白剤を使うと、木の色が抜けたり漂白剤の成分を吸い込んでしまったりするため使えません。カビやシミがつかないように日頃から気をつけてあげる必要があります。
直射日光に当てる
よく乾かそうと直射日光に当ててしまうのもNG。反りや割れの原因となります。乾かすときは風通しの良い日かげに置きましょう。
電子レンジで温める
木は温度変化に弱い素材です。電子レンジで温めると木に負担がかかり、変色や歪みの原因となります。また熱くなった食器を急激に冷ますとヒビ割れを引き起こすことがあります。ウレタン塗装なら「電子レンジ可」となっているものもありますが、事前に取扱説明書で使用できるかどうか確認しておきましょう。
食洗機で洗う
食洗機で洗うと長時間水と高温にさらすことになり、木に大きなダメージを与えてしまいます。一度や二度の使用ですぐにヒビ割れることはありませんが、長く愛用したいのであれば食洗機の使用は禁物です。
冷蔵庫に入れる
冷蔵庫の中は低温な分乾燥しています。極度な乾燥によってヒビ割れしたり、他の食材のニオイが移ったりします。長時間食べ物に触れているとシミの原因にもなるので、他の容器に移し替えましょう。
長く使うためのメンテナンス
オイルフィニッシュ製の木製食器は、使っていくうちに木の水分が抜けて表面のツヤがなくなりパサついてきます。定期的にオイルを塗ってメンテナンスしてあげると、ツヤが戻って長持ちします。
表面の傷、汚れを落とす
気になる傷や汚れが付いている場合は、目の細かい紙やすり(400番以上)で優しくこすって落としておきましょう。木目に沿って一方向にこするとやすりの傷が目立ちにくくなります。
食用オイルでコーティング
表面をきれいにしたら、オイルを塗っていきます。使用するのは「乾性油」といって、時間が経つと乾いてサラサラになるものがおすすめです。オイルをキッチンペーパーなどで全体に塗り込み、しっかり乾かします。
・クルミ油
・エゴマ油
・亜麻仁油
ニオイのクセがなく使いやすいのはクルミ油ですが、ちょっとお高めなのが難点。オリーブオイルでも代用可能ですが乾性油に比べるとベトベトしがちなので、使う場合は量を少なめにして薄く塗るようにするといいでしょう。
また、食用オイル以外では「食品衛生法」に適合した木工用の塗料なども使うことができます。ホームセンターやネットショップで手軽に手に入るので、他の木製家具などのお手入れもしたいという方は一本持っておくと便利かもしれません。
長期保管の際は念入りに乾燥を
木製食器は毎日は使わず、来客やホームパーティーなどここぞという場面だけ使うという方もいます。長期間食器棚にしまう場合は、洗ったあといつも以上に念入りに乾燥させましょう。直射日光が当たらず、風通しが良いところで保管します。食器棚にしまう場合は、毎日開け閉めするところの方が湿気がこもりにくいためカビの心配が少なくなります。
シミを防ぐ盛り付け方法
木製食器は使っていくうちに経年変化で色が変わっていくものですが、みっともなく見えてしまうシミはなるべく防ぎたいもの。正しいお手入れと合わせて、料理の盛り付け方にも気を使ってあげるときれいな状態が長続きします。
油ものを避ける
油や調理料がたっぷり使われているカレーなどの料理は、木が色素を吸い込んでしまいシミになりやすいです。どうしても木製食器を使いたいという場合は、ウォルナットなどシミが目立たない濃い色の食器を使うか、調味料は別のお皿に分けて長時間木肌に触れないようにしてあげるといいでしょう。
葉物野菜やワックスペーパーを活用する
油っぽいおかずの盛り付けのときにレタスなどの葉物野菜を敷いておくと、木と汚れが触れるのをある程度防ぐことができ、彩りも栄養バランスも良くなって一石三鳥です。ワックスペーパーは無地のものからおしゃれで可愛い柄ものまでたくさんの種類があるので、メニューや気分に合わせて選ぶのも楽しいですよ。盛り付け自体は陶器や磁器のお皿を使い、その下に敷くウッドプレートとして使う手もあります。
さいごに
扱いが難しいと思われがちな木製食器も、お手入れや保管方法に気をつければ長く愛用することができます。お気に入りの木製食器を見つけたら、ぜひ経年変化を楽しみながら長く使ってあげてください。